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一九六八年、信州大理学部の発足と同時に教授に就任し、九〇年に退官、現在は同大名誉教授を務める。専門は磁性物理学。遷移金属と希土類の合金、水素化合物核磁共鳴法による磁性研究の第一人者だ。
研究の成果は、MRI(磁気共鳴画像装置)に活用されているほか、水素エネルギーの貯蔵や超強力磁石、新素材など最先端技術への応用が期待されている。
同大着任前の徳島大工学部時代も合わせると約四十年間、研究と実験に明け暮れる日を過ごしてきた。研究成果については「先輩や同僚みんなに支えられたおかげ」とにこやかにほほ笑む。
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授業では知識の押しつけでなく、一緒になって悩み、研究を重ね、喜びを共
有することで学生からの人気も高い。
専門分野だけでなく、茶道など多趣味な人。「ひたすらに磁気と取り組み幾春秋今日の受章を喜び感謝」。得意の短歌で受章の感想を表現する。
若い研究者や学生らには「研究とは山を越えるのと同じ。トンネルを掘って直進しても、頂上を経由しても、すそ野を迂回(うかい)しても、どの手段でゴールを目指してもいい。自分の信念を貫き、途中であきらめないことが肝心」とエー
ルを送る。
(四国新聞の記事より ■写真は「辻村先生を祝う会」の様子)
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