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ノーベル賞候補ともいわれる遠藤教授は長野県須坂市の出身。演題『野原の奥、科学の先。』は、地域の科学教育振興のために地元の出版社から出された本のタイトル名です。守信少年が野山(臥竜山周辺)に見た「なぜ」を楽しむ気持ちが、後の大発見を生み出した心の原点になっているという意味からだそうです。
講演も少年時代の思い出から。蚕糸産業の衰退と時を同じくして進出して来た電機会社の隆盛を見て、工学分野の研究者になる決意をしたという。たいへんに郷土愛の強い方との印象。同じように、母校・信大への愛着も推し量られます。
さて、超音速飛行機の素材から燃料電池まで、今後のナノテクの多岐にわたる可能性を熱く語ってくれ、さらに、我が国の産業界と世界経済の方向性にまで幅広く言及されました。技術分野における近隣諸国、とくに中国や韓国の追い上げに対しては、最先端の技術に特化した取組みの必要性を強調されました。
かつて米国のクリントン大統領はナノテクを国家戦略と位置付けるという演説をしたそうですが、2050年には110兆円の産業になると目されているそうです。
遠藤先生が飛躍的な研究の発展を遂げられたのは、30年前のフランス留学時代。当時まだ貴重だった電子顕微鏡の使用回数が、他の研究員より大幅に多く獲得できたことによるものだったとのこと。所長(女性)にうまく取り入ったわけですが、ヒントは木下藤吉郎の故事によるものだったのです。
信州大工学部に復帰されてからも、昼夜を分かたぬ研究への没頭のため、須坂の自宅を出るときには毎日、お母さんから3つの弁当を手渡されていたというエピソードも・・・。
巧みな話術と新鮮な内容に90分の講演時間はあっという間にすぎ、講演が終わると、参加者から場内割れんばかりの拍手を浴びていました。
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小宮山淳学長(医学部教授)は『信州大学の現状と将来の取組み』についてご説明。昨年4月、大学を法人化という激震がおそいましたが、「朝令暮改はいいことだ」をモットーに「事務局長の廃止」など次々と機構改革に着手し、非公務員化に伴う問題も克服されてきたということです。
学生たちから意見を聞く場を定期的に設けつつ、「Eラ−ニング」「エコキャンパス」などを推進。「個性を発揮できる大学」を目指してこられた。今後は、10年ほど前に行った教養部廃止の見直しを検討するなど、教養教育の充実に目を向けるという。
また、白井理事のご説明によれば、産・官・学や地方自治体との連携、株式会社信州TLOの設立や学内ベンチャー育成、さらにはこの4月より遠藤教授をリーダーとする『カーボン科学研究所』(仮称)創設など、民間会社からの委託・共同研究による資金の流入を積極的に呼び込む考えのようです。
悪戦苦闘の独立法人化の初年(配布資料『国立大学法人信州大学 初年度の動き』参照)だったようですが、“ようやく光が見えてきた”そうです。
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▲ナノテクの権威、遠藤先生の講演は迫力満点! |
▲せつせつと信大の現状を話される小宮山学長
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▲白井理事(繊維学部教授)は産官学連携を開陳 |
▲記念講演に聞き入る参加者たちに深い感銘が |
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▲パーティー会場にてVIP席に居並ぶ来賓各氏 |
▲文理を含めた9学部の同窓会幹事が壇上に |
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▲理学部の参加者は5名。うち4名は物理科卒 |
▲二次会は3S有志と合同の宴会となりました |
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■報告・写真撮影/高藤 惇(2S)
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