[ 信大物理同窓会報0001号 ]
2002年05月30日配信

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          ┃信┃┃州┃┃大┃┃学┃┃物┃┃理┃┃同┃┃窓┃┃会┃┃報┃    
    ┌─┐┗━┛┗━┛┗━┛┗━┛┗━┛┗━┛┗━┛┗━┛┗━┛┗━┛
┌─┘○└─┐     
│田田田田田|──┐■━━■編集・発行/信大物理同窓会事務局■━━■
│田田田田田|田田|    (http://www.insatell.co.jp/physics/)
│田田田田田|田田|〒390-8621松本市旭3-1-1 信州大学理学部物理教室内
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ■「旧文理学部物理学科」+「理学部物理科学科」のOB&学生と教官の会■
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 

○-- 松本市郊外三郷村での「第5回同窓会総会」は、--○ +□□/\  
○-- 教官やOBなど30名ほどの参加により開催されま  --○ □□□□。)  
○-- した。冒頭で、会則と役員人事が異議なく、承  --○ □□□□/+  
○-- 認されました。みなさん、お疲れさまでした。  --○ □□□
○-- 今号は、正式発足後初の「第1号」の配信です。--○  +(。 )     
                           +  \/   

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            【も・く・じ】
■ 2002年5月18日(土)のドキュメント・・・・・・・・・・・・2S/高藤惇
■「信州大学物理同窓会」設立趣旨の要約・・・・・・・・文理10/松原正樹
■「同窓会費」は終身会費として1万円。『会計細則』決まる!
■正式にスタートした「信州大学物理同窓会」役員の面々
■基調講演をなさった森覚先生の近況について Q&A
■第5回同窓会に参加して/”懐かしい信州”・・・・・・・10S/佐藤 具子
■地下宇宙線観測所あれこれ−三郷、松代、ライアポター ・・・・森覚先生
■新たに“同窓会員登録”された面々のプロフィールをご紹介
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    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    ● 2002年5月18日(土)のドキュメント ●
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「第5回同窓会総会」は、昨年の総会において、幹事として文理・清水邦男、
理学・飯沼和男の両名を選出し、準備が始められました。昨年7月には「信
大物理同窓会設立世話人会」が結成され、11月にホームページ開設、そして
本年3月初旬より当ホームページでの告知と受付を開始しました。3月5日配
信の「メルマガ会報準備3号」および4月25日配信の同4号で呼び掛けを行
う一方、3月半ばよりメールアドレスを持たない(分からない)OB向けに、
往復葉書とファックス用紙同封の封書(新しい卒業生中心)を、計450名ほ
どに郵送しました。

 申込者は29名で、うち2名は来賓でした。来賓は、文理学部同窓会長の北
沢千和さんと理学部同窓会長の森淳さん。申込者の内訳は、メールによる者
:12名、葉書:10名、ファックス:2名、電話:2名、などとなっていました。
    -----------------------------------------
     素晴らしい晴天、まさにファインビュー!
    -----------------------------------------
 当日は快晴に恵まれ、会場の“ファインビュー室山”からの安曇平の眺め
は抜群でした。送迎バスの遅れがあって、開会は20分押して12:20に開始。
世話人を代表して文理・松原正樹が、司会進行に立ち、「信州大学物理同窓
会」設立趣旨の要約と会則を説明。ならびに役員候補を紹介。異議なく、拍
手でもって承認の運びとなりました。

 会長に選ばれた文理・平林喜明の決意表明のあと、この4月より理学部長
に就かれた永井寛之教授より挨拶がなされ、つづいて来賓の北沢、森両氏よ
り現状報告をいただきました。事務局長の理学・武田三男教授、会計係の理
学・近藤一郎、WEB担当の理学・高藤惇からは、それぞれの立場からの説明
がなされました。永井学部長からは“独立法人化”の見通しが、武田教授か
らは経済的理由による大学院生の学業継続困難の問題などが語られました。
     ---------------------------------
      そして森先生の講演は始まった
     ---------------------------------
 12:30に開始予定の森覚先生の講演は、約1時間と大幅に遅れて13:30こ
ろに「30分ていど」ということでスタートしましたが、30分オーバーの14:
30ころ閉演となりました。テーマは『地下宇宙線観測所あれこれ』(詳しく
は下記を参照)。誰しも、マイクを握ると長くなる(失礼!)、つまり、表
現のエナジーが有り余っている様子。というわけで、“会”は徐々に熱を帯
び、何十年も前のあのころにタイムスリップしていくようでもありました。

 会場を移しての懇親会。司会進行は幹事の文理・清水邦男にバトンタッチ。
乾杯の音頭を宮地良彦名誉教授にお願いして“宴”がスタート。途中、スピ
ーチを勝木渥先生、理学・福井眞(事務局企画担当)ほかの方々からいただ
き、それぞれ異分野での活きた情報に瞠目する場面もしばしばありました。
     ---------------------------------------
      やっと調子が出て来たところなのに・・
     ---------------------------------------
 副会長、文理・根建恭典より締めの挨拶があり、来年の幹事の理学・小西
義雄を紹介するなどして閉会となりました。が、みなさん会場を去りがたく、
窓辺で写真を撮りあう者、露天風呂に行く者、さらに二次会と称して松本に
繰り出す者、また、理学3Sのように某ホテルで学年会を開く者など、様々。

 まだまだなごり惜しい今年の「信大物理同窓会」でしたが、みなさんそれ
ぞれに、来年の再会を約して帰路につかれたことでしょう。来年は、輪をひ
と回り大きくしたいもの。ことし参加できなかったみなさん、ぜひ来てくだ
さい!
                 (=文中敬称略= 報告・2S/高藤惇)

→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→
   ■「信州大学物理同窓会」設立趣旨の要約 by 文理10・松原正樹
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1. 恒常的機関として組織化
2. WEB  NET  活用して情報交換、スピードアップ、省力化「物理同窓会
          ホーム ページ」の完成
  _,     3. 独立法人化→「同窓会」がどんな支援・連携ができるか
 (・>   4. 「松本化学学士会」など他学科との共催事業
 /彡))   5. 信州大学「理学部TLO」(将来構想)
 / /      「先端テクノロジービシネスセンター」
/"~k_       「安曇野コミュティーセンター」
     6. 師弟・先輩・後輩が相互に「刺激」しあえる会に

★詳しくは

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   ■「同窓会費」は終身会費として1万円。『会計細則』決まる!
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1.同窓会費は終身会費として1万円とする。一括払いを原則とするが、本
人からの申し出があった場合は事務局長が分割払いを認めることができる。

2.事務局長名で金融機関に同窓会の口座を設ける。事務局長が通帳・印鑑
を 管理する。会計担当がカードを管理して口座からの出し入れなどを行う。
 
3.在校生からの同窓会費徴収は、事務局が徴収日を決めて実施する。徴収
後、在校生の会費支払い者リストは、すみやかに会長ほか、会計担当および
関連事務局員に伝達する。

4.金融機関への振込み手数料は会員の負担とする。

5.会計担当は、年1回開催する総会を利用したり、メールで呼びかけたり
して、 卒業生からの会費徴収に勤める。

6.毎年開催の同窓会総会における参加費の徴集など会計管理については、
その年の幹事が担当し、事務局が補佐する。必要経費は事務局から事前に仮
払いのかたちで支出できる。幹事は開催後しかるべく早く収支を事務局に報
告し清算する。 

7.会計年度を4月から翌年3月とする。           ┳ξ
会計はすみやかに決算報告を作成                  ●●●
して会計監査担当から監査を受ける。               ●●
                                                 ●
8.本細則の改正は総会で行う。
              ┏━┳━┓
 ▼是非お早めに下記の口座に┃会┃費┃のお振込みをお願いします!!
              ┗━┻━┛
------------------------------------------------------------------
  ◆郵便局の場合/通常郵便貯金 
  記号:11150 番号:20343411
  口座名義:信大物理同窓会 代表者 武田三男(たけだみつお)
  住所:390-8621 松本市旭3-1-1

  ◆銀行の場合/八十二銀行 信州大学前支店
  店番号:421 普通預金 口座番号:650215  
  口座名義:信大物理同窓会 代表者 武田三男(たけだみつお)
  住所:390-8621 松本市旭3-1-1

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  ■正式にスタートした「信州大学物理同窓会」役員の面々
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●会長  平林喜明(文理6)
●副会長 根建恭典(文理9)、飯沼和男(3S) 
●顧問  松崎一(元教官)、宮地良彦(元教官)
●相談役   
●事務局長 武田三男(4s)
  事務局[企画]福井眞(3s)
  事務局[総務]三上浩佳(文理10)
  事務局[会計]清水邦男(文理11)、近藤一郎(12s)
  事務局[WEB担当]高藤惇(2s)
●会計監査 松原正樹(文理10)、三枝成男(文理10)

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  ■基調講演をなさった┃森┃覚┃先┃生┃の┃近┃況 について
              ┗━┗━┗━┗━┗━┗━┗━
                             __∧
  * * * * * * * * * * * * * /@) ⊃\/|
                            > ⊃⊃/\|
※森覚先生は、1927年(昭和2年)生まれ。1966年から1993年
まで、信州大学に新設された理学部物理学科に在籍され、宇宙線の研究と学
生の指導にあたられた。今回の「第5回同窓会総会」では、基調講演として、
『地下宇宙線観測所あれこれ』(下記要約文・参照)と題されて約1時間お
話をされました。そこで、次の2点、(1)現在何をされているか、(2)い
ま興味をもたれていること、について質問をさせていただいたところ、詳細
な回答をいただきましたので、全文ご紹介いたします。

(1)現在何をされていますか?
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 定年後、昨年までは、信大理、教養、共通教育センター(教養部解体後の
1年生の教育に当たる部局)の非常勤講師として、物理を教えていました。
共通教育センターでは、受講対象者は、主として文科系の学生でした。卒業
必須単位に自然科学をとらねばならないせいか、受講者が非常に多く(約3
00名)(物理は人気があったか?)、これを2つに分けてもらい、同じ講
義を2回しました。教室は100名位しか入れないのに、講義にあまり差し
さわりが無かったのは、学生の好意的(?)行動のお陰ですかね。学生の提
出するレポート(年3回程度ーこれを読むのは難行でした-扇風機で飛ばした
い!)の内容が、学部によって差があるのを興味深く感じました。学生の講
義の評価アンケート(最近はこれが当たり前)に、私のは、「森物」と学生
は呼ぶらしいのですが、ベスト3内にあり、少し安心しました。

 もう、1つは、理学部の2年生の英語をやりました。「英語1,2」があ
り、英語1では講読が主でしたので、アメリカの教科書(1,2年生用)を
読ませました。作文力をつけようと、対応する内容の英作文を宿題として
(日本の高校物理の教科書の中から適宜取ってきて)、毎週提出させました。
35名位の英作文を毎週添削して、次週に説明する作業は楽ではありません
でしたが、私の方が勉強になりました。あんなに、教えるのにまじめに(?)、
かつエネルギーを注入したことは在職中にはなかったと思います。昔の学生
諸氏にはまことに申し訳ないと反省しています(遅過ぎますがね)。

 英語2は科学論文の講読ということで、主としてScientific Americanから、
内容が彼らに適当なのを選んで読ませました。学生はtechnical termsや科学
論文の表現に不慣れなため、私が期待したほどには、反応は今ひとつでした。
あれで良かったのかと、今になって考えます。これも、私には大変勉強にな
りました。

 非常勤の定年が(?)きて、昨年(後半)は、「韓国からの留学生」に
「日本語物理」を教えました。この制度は、金大中大統領と故小渕総理との
間の約束で、韓国から日本に、毎年、各大学に何人か送り込み、次の年に、
1年生として入学し、4年間で卒業させるのです。ほとんどが、工学系進学
希望の学生です。昨年度は信大は5名でした。学生は、日本語が十分ではな
いので、ただ講義するのでなく、学生にできるだけ日本語で物理を説明させ
るようにしました。このときも、毎週高校程度の物理の問題を宿題にし、次
の週に、前に立って説明させました。お世辞にでも、「お陰で、何とかやっ
ています」と最近会った一人に、言われて喜んでいます。どの学生も、外見
は、服装といい、持ち物といい、日本の最近の若者と変わりません。彼らは
好感が持てて、(日本の学生より)礼儀正しく、敬老の精神がある(?)よ
うに感じました。今年度も来るようです。

(2)いま興味をもたれていることは?
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 在職中は、専門の職(研究、教育、その他雑用)に忙しくて、本を読む暇
もありませんでした。退職してみると、この世の中には、万巻の書があるこ
とを改めて知りました。今は読書に一番興味があります。大分、世の中を知
りました。
 その次は、水泳です。これは、在職中にも、信大のプールで泳いでいまし
たし、今もクラブに入って、少なくとも毎週1回は泳いでいます。
 次いで、散歩です。家内の健康の為もあって、そんなに長い距離ではあり
ませんが、少なくとも、1日おきには歩きます。

(なお現在、『地下宇宙線観測所あれこれ』の原稿について、先生は、加筆、
訂正をなされているところです。新しい原稿をいただき次第、ホームページ
に掲載することになっています。)

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  ■第5回同窓会に参加して■ ”懐かしい信州”
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                   佐藤 具子(10S/千葉県成田市在住)
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 今年5月、信州で開かれた「物理同窓会」に参加させていただき、感激でし
た。
 一つは信州の美しい自然に触れることができ、懐かしさでいっぱいでした。

 もう一つは恩師の先生方、宮地先生、鷺坂先生、森先生、勝木先生、永井
先生にお目にかかることができ、感激しました。お話を伺っていると、昔と
変わらぬ情熱を持って研究に勤しみ、生き生きと「我が道」を歩んでおられ
るお姿に、聞く私も学生時代にタイムスリップし、心おどる思いがしました。

 さらにもう一つ、「物理」という共通点によって結び合わされた仲間なの
だと実感したことです。私が同窓会に出席したのは,昨年に続き2度目です。
昨年は宮地先生と近藤さん(12S)以外、初めてお会いする方ばかりで緊張し
ていました。今回は2度目ということもあったでしょうか?同期の野坂さん
(10S)が出席されていたからかも知れません。私もここにいていいんだ、と
いう不思議な安心感がありました。

 今はそれぞれに、年齢も、仕事も、社会的地位も、立場も違う方々です。
でもそのような人たちが、一堂に会して和気藹々と語り過ごすことができる
のですから、なんとすばらしい結びつきでしょう。感動しました。

 V ?       最後になりましたが、このようなすばらしい「同窓会」を
(∵)     毎年、企画し開催してくださっている幹事の方々に、心から
 \(@)⊃     感謝します。可能なかぎり同窓会に出席することで協力した
〜〜〜〜〜〜 いと思いますので、よろしくお願いします。       

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  ■基調講演■ 地下宇宙線観測所あれこれ〜三郷、松代、ライアポター〜
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           森 覚(信州大学名誉教授/長野県松本市在住)  
----------------------------------------------------------------------
★最初の10分間の録音(http://www.insatell.co.jp/physics/media/mori_sp.au)
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 名古屋大学から信州大学へ昭和41年(1966)8月に移って、今年で36年に
なる。来て直ぐ2年間、米国に滞在させてもらった。昭和43年9月に帰国して、
「宇宙線の実験」をと研究室の鷺坂さん、安江さん、教養部の一之瀬さんと
相談した。限られた予算と人員で、しかもユニークな研究として、世界的に
も、未だあまりやられていない「高エネルギー宇宙線の地下観測」をテーマ
に選んだ。計画はたてたものの、観測装置は殆んどなく、研究費の大部分も
学生実験の整備につぎ込んだため、準備は遅々たるものであったが、あきら
めず、近辺で使えそうな地下トンネルを探し歩いた。

 昭和45年度には、「宇宙線の地下観測」の題目で科研費を得、理・教養の
共同で、山辺地籍の「東城山の地下壕(50メートル水深相当の深さ)」を借
り、昭和46年4月から、小さい宇宙線計(上下2層面積8平方m)で観測を始め
た。地下壕は戦時中の地下工場跡で、放置されたままで、崩れやすく、実際
梅雨時に崩落し、装置を作り直した。

 当時は学園紛争が全国的に激しく、たまたま補導委員長(46−47年)をし
ていたので、事務長と会う機会が多く、その度毎に新しい地下トンネルでの
宇宙線観測の希望を話した。事務長の力添えもあり、「各所営繕」の項目で
昭和47年度に宇宙線観測用に地下トンネルを掘ることが認められた。

 当時研究室にいた三郷村出身の小穴君(技官)が、トンネルの用地に三郷
村有の室山を借りる橋渡しをしてくれた。村長や村会議員に宇宙線観測の意
義を説いてまわり、「室山」にトンネルを掘ることを許された。

 観測機器をどう工面するかが、次の間題であった。少ない研究費の範囲で、
出来るだけ大きな装置を作ろうと、宇宙線計筐体は値切り、光電子増倍管は
名大字宙線研のお古を貰い、電子回路は安江さんや学生の赤羽重信君(3S)
が手造りした。128枚のプラスチック・シンチレターは、名大から製作装置
一式を譲り受け、1週2枚の割で3年かかって作った。

 昭和48年(1973)8月、上下2層面積32平方mの望遠鏡が出来上がり、34メ
ートル水深相当の深さの「三郷地下観測所」での本観測を開始した。観測機
器の点検、停電、データ取得など苦労はつきなかったが、学生諸君の協力も
あって、連続観測は休みなく行うことが出来た。1975年のミュンヘンでの宇
宙線国際会議で、世界に三郷地下観測所の存在を報告した。観測は約30年
を経た現在も続けられており、太陽活動や太陽磁場変化と宇宙線変化の長期
的相関のデータを提供している。

 _____    その頃、既に世界の趨勢は「より高いエネルギーの宇宙線観
|.-----.|  測」へと進み始めており、我々ももっと深い地下での観測計画
||∂.∂||  をたてた。昭和54年(1979)、「気象庁松代地震観測所」の地
||_ ▽_||  下トンネル(220m水深相当の深さ)を借りて、科研費でその準
 `--)-(--` 備を始めた。茅野君(小穴君の後任、昭和49年に転属)や学生
[___o]  諸君の現地での泊まりこみの奮闘で、トンネルの拡大工事や観
       測装置の設置ができ、昭和55年(1980)8月から観測(上下2層
面積16平方m)を開始した。観測は1980ー1990年間続け、深い地下での宇宙
線観測のノウハウを得た。

 地震観測所の地下で観測を行いながら、借り物でなく自前の、世界の他の
観測所に比べてより深い地下に観測所を作る計画をたてた。概算要求書を作
り、再三文部省に説明に行き、要求が実現したのが、昭和58年(1983)2月
であった。本部事務局から、金額の関係で地下トンネルは長野市松代町にあ
る旧大本営跡を使ってはどうかと提案された。跡地の使用の了解を得るため、
事務長とたびたび長野市役所や松代町支所に交渉に行った。最終的に「象山
の地下にある大本営跡地」のトンネルの1つが使えることになり、地下壕の
拡大・整備が行われ、水深相当220メートルの地下に、コンクリート張りの
100平方mの面積をもつ観測室が出来た。

 しかし、そこに入れる観測機器をどうするかが次の大問題であったが、幸
いその年、教養部から提出した学内共同大型機器として宇宙線観測装置一式
が認められ、観測室の大きさに見合う観測機器の用意をすることができた。

 ここでも装置はできるだけ手造りし、費用を節約した。220メートル水深
相当の深さの「松代地下観測所」で、待望の上下2層、面積50平方mの宇宙線
計による観測を開始したのが昭和59年(1984)4月であった。特に、宇宙線
計は2つ目玉の形を工夫し、世界の他の深い地下観測所と比べて格段に良好
な「信号一雑音比」を持たせることができた。観測室内は一定の温度で、か
つ低湿度に保たれ、観測環境は世界のトップレベルをいくものである。ここ
でも学生諸君の協力が大であった。

 遠隔地での観測という悩みはあったものの、観測開始から3年目の1987年
のモスコーでの宇宙線国際会議で、松代地下での観測データから「宇宙線恒
星時異方性の南北非対称性」の存在の可能性を発表し、大きな反響を得た。

 今度は、この「南北非対称性異方性」を更に実証するため、「地球南北両
半球での観測計画」をたてた。1990年のオーストラリア(アデレード)での
宇宙線国際会議の時、宗像さん(1989年に着任)とタスマニア大学、及びオ
ーストラリア南極局の宇宙線グループに、共同研究を呼びかけ、快諾を得た。

 _____   「タスマニア島」のほぼ中央部にある水力発電所の地下トンネ
|.-----.|  ルを観測地に選び、平成3年(1991)12月に、154メートル水深
||∂.∂||  相当の深さに、上下2層面積40平方mの宇宙線計を持つ「ライア
||_ ▼_||  ポター地下観御所」を開設した。建設には、人里離れた地下ト
`--)-(--`  ンネルで、宗像さんや茅野君、大学院学生の諸君が約1カ月に
[___o]  わたって奮闘し、その勤勉さは現地の研究者に大いに賞賛され
       た。

 機器の製作、輸送など、資金繰りは楽ではなかったものの、会社(卒業生
の紹介により、日立デバイス、沖電気、東芝情報)からも助成金を項き、な
んとか乗り切り、特に旅費を調達することができたのは幸いであった。

 現在は、加藤さん(1993年着任)、小山君(茅野君の後任として、1992年
転属)も加わり、「三郷、松代、ライアポター」3ケ所の地球南北両半球の
地下観測所をコンピュータで結び、研究室に居ながらにして、観測装置の制
御、監視、さらに時時刻刻のデータの取得を行っている。タスマニア大学か
ら若手の研究者も来日し、1998年、「恒星時異方性」について「新しいモデ
ル」を発表した。    

 最後に、これらの施設を作るに当り、多大の支持・協力をして頂いた大学
当局、理学部の皆さん、学生諸君、また上記の会社に厚くお礼を申し上げる。

(平成14年5月18日)

※注:現在、地下観測に加えて、さらに地上観測も拡大し、観測・研究は進
行している.
                                                     
                         
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 ■新たに┃同┃窓┃会┃員┃登┃録 された面々のプロフィール(順不同)  
     ┗━┗━┗━┗━┗━┗━
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◎ホームページ上の「会員名簿」をみるには、パスワードが必要です。
の、パスワードのところに、
 ×××(非公開)
と入れ、「OK」ボタンを押すと「会員名簿」のページが開きます。(パスワー
ドはときどき変えます。その際、当メール会報で連絡します。)
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●

(省略)

----------------------------------------------------------------------
◎住所、メールアドレスなどに変更が出た場合は、「同窓会員登録」から再
度ご連絡ください。
◎現在メールアドレスが確認できている会員は128名です。「会員名簿」に
載っていないか、または載っていてもメールアドレスの欄に表記のない卒業
生をご存じの方は、その方にこの会の存在をご連絡いただければ助かります。

●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●

  /\ ☆ 
 │○│   ◎この「信州大学物理同窓会メール会報」は当面、不定期に発
 │ │    行されますが、だいたい隔月刊くらいになる予定です。
/| |\  ◎みなさんの“投稿”が頼りです。お待ちしています。また、ご
 ̄ ̄ ̄ ̄    意見、ご提案、ご感想、叱咤、企画など、お寄せください。
 ||||          

 ̄/ ̄/ ̄/ ̄/ ̄/ ̄/ ̄/ ̄/ ̄ ◎編集雑記◎/ ̄/ ̄/ ̄/ ̄/ ̄/ ̄/ ̄/ ̄/ ̄/ ̄

●一年間をかけて準備してきました、信大物理同窓会と事務局の開設が実現
され、今、感無量です。これを契機に「会」が発展し、何十年先、いや何百
年先にも受け継がれいってくれればいいが・・・と願わずにはいられません。
●永井学部長や武田先生より、現在の学内の様子を伺うに、かなりの緊迫感
が漂っているようです。独立法人化、トップ30など“上”からの改革が規定
の事実となっています。すぐに成果や利益に結びつかない基礎科学(研究)
をどう守って発展させていくか、頭の痛い課題のようです。
●森覚先生の講演を拝聴して感じたことは、どの世界でも同じかもしれない
ですが、「人との出会い」の大切さ。学園紛争時に知り合った事務長、そし
て小穴さんなどなど、いい研究の裏側にいい人脈があり、というところです。
●さて、この「会」の活動として、武田先生より「大学院生向けの奨学金」
創設という大きな提案をいただきました。これは実現できるとしても、理学
部同窓会と連携せしめないと難しいとの感触もありますが、緊急の問題には
違いありません。また、企画担当の福井さんからも素晴らしい提案がありま
した。そんなこんなを議論し、実現できる「会」でありたいものです。(T)

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■■■■■ MAILMAGAZINE BULLETIN 『信大物理同窓会報』001号 ■■■■■
  ●2002年05月30日  編集・発行/信大物理同窓会事務局
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