・。・゜☆・゜・。・☆ ・。・゜☆・゜・。・☆ ・。・☆・゜・。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
≪≪≪≪≪≪ ●メルマガ会報0035号 2011年7月25日配信● ≪≪≪≪≪≪≪
┏━┓┏━┓┏━┓┏━┓┏━┓┏━┓┏━┓┏━┓┏━┓┏━┓
┃信┃┃州┃┃大┃┃学┃┃物┃┃理┃┃同┃┃窓┃┃会┃┃報┃
┌─┐┗━┛┗━┛┗━┛┗━┛┗━┛┗━┛┗━┛┗━┛┗━┛┗━┛
┌─┘○└─┐ ______________________
│田田田田田| │★ SUPAA MAILMAGAZINE BULLETIN 2011年夏号 │
│田田田田田|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
│田田田田田|──┐■━━■編集・発行/信大物理同窓会事務局■━━■
│田田田田田|田田| (http://www.supaa.com/)
│田田田田田|田田|〒390-8621松本市旭3-1-1 信州大学理学部物理教室内
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■「旧文理学部物理学科」+「理学部物理科学科」OB&学生と教員の会■
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
(当メルマガは《表示》→《文字のサイズ》→《等幅》でご覧ください)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
○-- 宮地先生の“あの日あの頃”は今回最終回。 --○ ,〜,ξ
○-- 3年に渡ってご執筆いただきありがとうござ --○ ( 人 ),〜,
○-- いました。歴史的な記録です。松崎先生への --○ '〜'( ◇ )
○-- 先輩方の追悼文をお読みすると、先生がいか --○ <⌒⌒>'〜'ζ
○-- に偉大な存在であったかが分かります。WE --○ ( /( ◇ )ξ
○-- Bにアップしました。ご覧ください。14回総 --○ ξ '〜'
○-- 会の余韻はまだ冷めやらぬところです。小河 --○
○-- 氏の講演もWEBから聴けますので、どうぞ。--○
【 I ・ N ・ D ・ E ・ X 】
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
◇ 連載第12・最終回【信州大学への追想】“あの日あの頃”
「大学設置基準の大綱化と新教育課程の策定」 ・・・・・・ 宮地 良彦
◇ 物理学科長の天児先生に10の質問 ・・・・・・・・・ご回答:天児 寧
◇ 2011年春 卒業生・修了生の進路状況 ・・・・・(まとめ/藤 惇)
◇ 第14回信大物理会総会 審議事項/収支決算報告・・・・ 事務局各担当
◇ 第14回信州大学物理会総会の報告・・・・・・・・・・・・・ 太平 博久
◇ 信大理学部講演会を終えて ・・・・・・・・・・・・・・・・・小河 勝
◇ 物理同窓会初参加 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 岡村 俊紀
◇ ┃惜┃春┃の┃詩┃ 〜 松崎 一先生を語る 〜
「忘れられない松崎先生の思い出」・・・・・・・・・・・根建 恭典
◇ 物理6Sの近況など ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・松井 豊
◇ [新入学生からの声]・・・・ 平良 優大/畠山 和也/福原 俊/前田 彩那
◇ イベントご案内 ◎信州大学物理同窓会 暑気払いの会
◎信州自然誌科学館 2011「自然をみつめる」
◇ ▼△ウィーン便り(8)△▼ 再びアメリカへ ・・・・・・・ 大塚 直彦
◇ <再録>「同窓会費」は終身会費として1万円『会計細則』決まる!
◇ 編集後記
======================================================================
┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┓
【信州大学への追想】┃“┃あ┃の┃日┃あ┃の┃頃┃”┃ 連載第12・最終回
┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┛
■ 大学設置基準の大綱化と新教育課程の策定 ■
----------------------------------------------------------------------
宮地 良彦(信州大学名誉教授・物理同窓会名誉顧問)
----------------------------------------------------------------------
*
新制大学の教育は、豊かな人間教育を目的とする一般教育と、
●● 高度な専門的知識を与える専門教育という二本立ての教育課程
●※● から成り立っていた。この方針のもとに、文部省は昭和40年以
●\§ 降専門学部の充実と並行して教養部設置を進め、信州大学でも
∞\ 文理学部の人文学部・理学部への改組、教育学部松本分校の廃
止、教養部の設置という形で昭和41年度から発足したことは前
にも述べたとおりである。
この制度では、教養課程で、人文、社会、自然、外国語、体育の各分野別に
取得すべき単位数が細かく指定され、これとは別に専門課程でも卒業に必要な
専門科目の単位数が指定されている。こういった専門と教養との画一的な区分
のために、一般教育はともすると専門の予備段階と受け取られ、学生は単位の
取りやすい科目に集中し、教養部はキャンパスライフを楽しむ息抜きの場とな
りかねなかった。一方とくに自然科学系の専門学部では、学問の急速な進歩に
伴ってできるだけ早い段階から学生に専門科目を教えたいという希望が強くな
りつつあった。
このような状況に対処するために、文部省は年号が平成と変わる頃から大学
教育の大幅な規制緩和に乗り出した。そこでは教養と専門という二本立ての区
別を廃止して授業科目の区分の弾力化を図ることにより、有機的に総合した教
育課程を編成して、各大学の創意・工夫による4年間一貫教育(医学部は6年)
を行う方針が示されていた。
これが表題の「大学設置基準の大綱化と新教育課程の策定」という問題で、
そこでは大学における教育の単位は学部であるという基本的認識が打ち出され
ていた。これにより信州大学の直面したのは、一貫教育実施に向けての専門学
部の整備・充実と、全学的共通教育の新たな実施体制作りという問題で、前に
述べた評価・点検とならんで、これが、私の学長在任中のもう一つの重要な課
題となったのである。
● 新教育課程の策定 ●
大学設置基準の大綱化という文部省の方針を受けた信州大学では、平成4年
4月には、新教育課程の策定を、「教育の中身に関連するカリキュラムの編成
など」と、「教養部を含む全学的教育・研究組織の在り方」の二つの課題に分
けて議論を進めることになった。
前者の課題について、一貫教育という考え方はそれまでの広い視野に立つ教
養教育の否定ではないかという意見も教養部教官を中心としてかなり根強いも
のがあり、教養とは何かという基本的な問題まで立ち戻った議論も戦わされた。
しかしながら、議論が進むにつれて、一般教養の重要性は十分認めながらも、
それを一年半あるいは二年の単位取得期間と結びつけている現行制度の欠陥も
次第に学内の共通認識となってきた。その結果、それまでの教育内容を見直す
ことにより、次のような骨子の新教育課程が平成5年6月の評議会において決
定された。
(1) 新教育課程は専門教育と教養教育を有機的に関連付けた一貫教育とする。
(2) 全学部の1年次教育は当分の間松本キャンパスに置いて行う。
(3) 授業科目の区分は全学部に共通する基幹科目と専門系科目とする。
(4) 新教育課程は全学協力体制によって実施する。
(5) 各学部は、生涯教育、リフレッシュ教育への対応と地域社会への貢献に
配慮する。
新しいカリキュラムの具体的な内容としては、基幹科目として個別科目と総
合科目の開設と充実、少人数教育の積極的取り入れ、情報教育科目の新設、新
入生ゼミナール、留学生を対象とした日本語日本事情、学部間の単位互換など
が挙げられる。
この新教育課程は、平成6年4月から実施されている。
● 研究・教育組織の改革 ●
一方研究・教育組織の在り方については、教養部の存続と絡んで、議論は難
航した。専門の研究とは直接関係の無い授業を担当する教養部教官にしてみれ
ば、卒業研究や就職まで面倒をみる専門学部の教官とちがって、学生は単なる
通過集団に過ぎず、進学基準をめぐる専門学部とのトラブルや、教養部独自の
予算要求の制約などもあって、大学教官組織の二重構造に対する不満も少なく
なかった。
したがって、独立した専門学部への組織替えを希望する意見も教養部では根
強いものがあり、平成2年初頭の段階では教養学部(仮称)設置計画を打ち出
していた。しかしながら教養部の多種多様な教官構成を考えると、すでに8つ
の専門学部を持つ信州大学に新しい専門学部を設置するのは極めて難しいこと
も、冷静に判断すれば明らかなことであった。
その結果、今回の新教育課程の策定にあたっては、教養部廃止もやむなしと
する空気が次第に学内に広がって行った。ある段階の評議会では、「教養部は
滅びの美学ですな」という評議員発言があったほどである。
このような経過を経て、平成5年6月の評議会において、「教育・研究組織
の在り方」について、学長、各学部長、教養部長および学生部長で構成する将
来計画委員会から、次のような共通理解が報告された。
(1) 一貫教育の推進という教育改革の基本方針からみて、一般教育のみに専
念する教官組織の存続や再構築は極めて困難である。
(2) 教養部単独の新学部創設も現在の社会情勢からみて極めて難しい。
(3) 新教育課程の実施体制が整備された時点で、教養部は発展的に解消する
用意がある。
(4) 大学教官として教養部教官と専門学部教官とは平等である。
(5) 組織の整備・再編に当たっては、教官の教育・研究上の実績と自己実現
の意向を尊重する。
(6) 共通教育及び学生生活指導の責任体制を確立するため、共通教育開発・
実施センター(仮称)を設置する。
● 教育・研究体制の整備 ●
上記6項目の共通理解を踏まえて、各学部および教養部はそれぞれの部局の
整備再編計画案を将来計画委員会に持ち寄り、将来計画委員会はこれらの諸案
を調整し、平成7年度を目途に研究・教育の全学的整備計画案を策定すること
が承認された。
この合意を受けて教養部は発展的に解消して教官は現行の身分のままそれぞ
れの専門性に応じた適切な学部に分属し、それぞれの部局では教官受入れに伴
う組織の再編・充実計画を立案することが確定的となった。
その結果、教養部教官に対する移行希望の学部調査と受け入れ学部との調整
を行うとともに、教官移行に伴う専門学部の組織改革案の作成など、教官の個
人的事情ともからんだ複雑多岐にわたる諸問題について、平成5年度後半から
平成6年3月末にかけて、将来計画委員会を毎週のように開催することにより
審議を進めた結果、新教育課程に対応するための信州大学の組織改革案が、平
成6年6月の評議会に提出され承認された。組織改革の主要部分は次のとおり
である。
(1) 教養部教官は専門性に応じた学部に分属する。
(2) 人文学部は「人間情報学科」と「文化コミュニケーション学科」に再編。
(3) 経済学部は「経済学科」と「経済システム法学科」に再編。
(4) 理学部は「物質循環学科」を新設して6学科制とする。
(5) 工学部と農学部は講座増。
(6) 繊維学部は学科改組により7学科制とする。
(7) 共通教育センターを新設する。
この改革案は平成7年度概算要求として文部省に提出されて承認された。こ
れによって全学協力による共通教育センターと、整備・拡充された専門学部に
よる信州大学の新教育・研究体制が計画通り平成7年4月から実施されたので
あった。
● 終わりに ●
この新教育課程の実施は、戦後の学制改革、昭和40年ころの大学改組と並ぶ
第3の大学改革ではなかったかと思われる。この改革の発足とともに、平成7
年6月の学長任期満了により私と信州大学とのかかわりは終りを迎えることに
なった。
振り返ると、昭和36年信州大学文理学部に着任して日も浅いうちに文理学部
改組と教養部設置という大きな改革に加わり、足かけ35年にわたる信大勤務の
最後の年には、昔旗振りをした教養部を自分の手で解体する立場に立たされた
のは、運命のいたずらとしか言いようがない。信州大学では私の退任後も歴代
学長および教職員のご努力とご協力により、新しい社会情
勢に対応した改革が着々と進められている。今後の信州大
学のさらなる発展を心から祈りつつ、この連載の筆を擱く vvv
ことにする。 vvv ( )
( ) ~|~
物理同窓会の皆さんには長い間の御愛読に心から感謝い ~|~ | /
たします。 |/\|/
(文中の肩書は当時のもので、敬称は省略いたします。) (完)
======================================================================
■ 信州大学理学部物理科学科長の天児先生に10の質問 ■
----------------------------------------------------------------------
ご回答:天児 寧(理学部物理科学科 学科長/磁性実験研究室)
----------------------------------------------------------------------
信大物理科学科を取り巻く状況について、また現下の教育
V ? 方針などについて、毎年物理科学科長に10項目の質問をさせ
(∵) ていただいています。ことしは、新たに就任された天児先生
\(@)⊃ にうかがいました。『学科長は毎年持ち回りで、「学科長に
〜〜〜〜〜〜 なった、から、、、」ということはありません。一教員とし
てアンケートに回答いたします』という前置きのもとに、以
下のようなお答えを頂戴しました。
----------------------------------------------------------------------
1) 現在の学生気質・特徴を3つほど挙げるとすると・・・
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
思うところはありますが、「学生一人一人の個」と考えるよう心がけていま
す。
2) 現役学生に望むこと、おこごとや注文などについて
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「単位さえ取れればいい」という学生が多いように思います。物理科学科のデ
ィプロマポリシー(卒業認定・学位授与に関する方針 ※編集註)は、
………………………………………………………………………………………
物理科学科の理念と目標に則り、教育期間内に以下の知識と能力を充分
に培った学生に対して、「学士(理学)」の学位を授与する。
1.物理学を通して、自然を理解するための幅広い知識と理解力を有して
いる。
2.専門知識に基づく論理的な思考力を有している。
3.知識に基づく自由な発想と柔軟な創造力を有している。
………………………………………………………………………………………
です。なぜ今、松本に、信州大学に、理学部に、物理科学科に、いるのかと
いうことを十分に意識して、時間を使ってほしい。
3) 学生の勉学意欲や質を高める方策を講じておられるのでしょうか?
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
講義をはじめる前に小テストを行っていますが、「次回、この問題を出しま
す」と予告しても、できる学生は1/3もいません。1/3は白紙です。現状を打開
するために、現在、昨年度学科長の竹下先生を中心にカリキュラム改革のため
のプロジェクトを立ち上げております。
4) 信大物理科学科に求められていることとは、どのようなものでしょう?
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
1.ディプロマポリシーに適った人材を輩出する。
2.物理学の発展に寄与する。
3.長野県民(主に児童生徒)に物理学の魅力について伝える。
5) 現在の物理科学科のかかえる最大の問題点は何だとお感じですか?
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
抱えている問題はたくさんありますが、最大となると、やはり入学者の"質"
の確保かと思います。これは昨年度の竹下先生のアンケートの回答の通り、日
本の大学の理系の学科に共通する問題点ではないでしょうか。
6) 上記問題点・課題に対する解決策としてはどんなことが考えられますか?
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
個人としてできることとして、(本当にささやかですが)毎年、2〜3回、小
学生や小学校の先生を対象として話(実験)をさせてもらっています。
7) 信大物理科学科は教育重視・研究重視、どちらだとお考えですか?
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
個人的にはどちらも重視、バランスよくやっていると思います。何年か前か
ら、教員の業績評価をやらされております。教育、研究、大学運営、社会貢献
が評価の対象とされますが教育、大学運営はほぼ平等にやっていますので、評
価の差は研究(論文数や競争的資金獲得状況)に出ます。従って、この評価がど
のように使われるかによっては、変な方向に向かうかもしれません。
8) 数年前に国立大学は独立行政法人化されましたが、その後の変化について
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
恒常的研究費が著しく減りました。(現在、年間10万円/1人。高校生の小遣
い程度でしょうか。)事務職員の数も減り、(一番いた頃に比べると半数になっ
ているそうです。)教員の雑用が増えました。教員数もどんどん減っています。
9) ことしの入試について、応募倍率や受験率などどのようにお考えですか?
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
今年の入試について、応募倍率、受験率に限っては問題ないと思いますが、
要はその中にどれだけの志と能力を持った人がいるかだと思います。もちろん、
物理科学科の存続のためには倍率は高いに超したことはありません。
10) 当同窓会に期待していることや、要望がありましたら教えてください
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
同窓会には就職セミナーや成績優秀者の記念品代等でお世話になっておりま
す。これからも温かく見守っていただければ幸いです。
======================================================================
□■□□■□ 2011年春 卒業生・修了生の進路状況 □■□
----------------------------------------------------------------------
学部卒業者は38名。内訳は、進学:18名、就職:12名、未定を含むその他:
8名となった。進学者は、08年26名→09年18名と大幅減少したが、その後10年
:22名→ことし:18名と、20名前後で横ばい状態。かつては70%を超えていた
進学者が減少して、約半数となってきた。進学先として信大大学院へは、04年
:13名 →05年:8名 → 06年:15名 → 07年:14名→08年:14名→ 09年:11
名→10年:13名、ことし:9名と、10名前後でやや減少傾向がつづいている。
就職先は、教員を含めた公務員が6名(昨年1名)と躍進。特に、これまでほ
とんどなかった自衛隊への就職が2名となった。民間への就職先は、有力企業
から中堅企業まで東証への上場企業が名を連ねている。
しかし「その他」が昨年の3名からことしは8名と急増。就職難を反映してい
る模様だ。こうした学生はどう身の振り方を考えているのだろうか。フォロー
の一助に同窓会が役立たないか、検討をする時代になったのかもしれない。
修士卒は進学(信大博士課程)1名を除いた9名が就職と、ほとんどが就職して
いる。就職先はことしは公務員はゼロ(昨年2名)で、すべて民間有力企業だ。
学部卒と修了生の民間就職先の企業にはダブりがみられる。あるいは昨年の就
職状況からも、信大物理から継続的に人員を採用している企業がうかがえる。
次号では、就職委員会の小竹先生に状況をうかがう予定。
(まとめ:藤)
----------------------------------------------------------------------
■ 学部卒業生/30名 →進学22名 →就職5名 →未定3名
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
《進学先》信州大学大学院工学系研究科修士課程(9)、東北大学大学院(2)、筑
波大学大学院(2)、東京工業大学大学院(2)、東京大学大学院(1)、名古屋大学
大学院(1)、京都大学大学院(1)
《就職先》
【公務員】3 陸上自衛隊(1)、海上自衛隊(1)、群馬県(1)
【教 員】3 文化長野学園高等学校(1)、塩尻志学館高等学校(1)、保善高等
学校(1)
【民 間】6 (株)東芝(1)、東京エレクトロン(株)(1)、藤原印刷(株)(1)、
(株)富士通システムソリューションズ(1)、沖縄日立ネットワー
クシステムズ(株)(1)、(株)アイプランニング(1)
【その他】8
----------------------------------------------------------------------
■ 大学院修士課程修了生/10名(昨年13名)→進学1名(昨年2名)→就職9
名(昨年10名)→未定0(昨年1名)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
《進学先》信大大学院工学系研究科博士課程(1)
《就職先》
【民 間】9 (株)東芝(2)、東京エレクトロン(株)(1)、藤原印刷(株)(1)、曙
ブレーキ工業(株)(1)、新光電気工業(株)(1)、(株)コシナ(1)、
日本AEパワーシステムズ(株)(1)、デジタルプロセス(株)(1)、
ホーチキ(株)(1)
----------------------------------------------------------------------
■ 大学院博士課程修了生/0名
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
……………………………………………………………………………………………
┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┓ ┏━┳━┳━┳━┓
┃第┃14┃回┃信┃州┃大┃学┃物┃理┃会┃総┃会┃=┃審┃議┃事┃項┃
┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┛ ┗━┻━┻━┻━┛
5月28日(土)に信大理学部で開催されました第14回総会において、事務
局から提案された2件の「審議事項」が承認されました。
___________________________________
【審議事項の決議結果】
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(1) 会計報告(決算・予算案)/会計監査報告 →承認
(2) 会則の一部改正/ア・会則第4条の会員資格について、正会員が「在学者
と卒業生」となっていますが、卒業したしないにかかわらず「在籍した者」と
改正する趣旨説明がなされました。 →承認 イ・「信州大学文理学部物理
学科」を正式な「信州大学文理学部自然科学科物理専攻」と変更すべきとの意
見が会場から出されました。 →承認
●なお来年の第15回総会は東京で開催することに決まった。総会幹事として、
三上(文理10)、太平(6S)、近藤(12S)の3役員がとりまとめていくことを了承。
___________________________________
【収支決算報告2010年度】(2010年4月〜2011年3月)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
I)収入の部
----------------------------------------------------------------------
1.終身会費収入 360,000 (うち34件340,000円は、新入生から)
2.寄付金収入 56,006
3.総会会費収入 320,000 2010.5.29開催第13回総会収入(下記参照)
4.雑収入(1)利息 771 (1)銀行口座65円 (2)郵便口座706円
雑収入(2) 0
当期収入合計A 736,619
前期繰越金 1,770,717
収入合計B 2,507,336
II)支出の部
----------------------------------------------------------------------
《事務局活動費》
(1)人件費 0
(2)旅費交通費 6,600 打ち合わせ駐車場代(23件)6.600
(3)WEB運営費 93,330 年間維持費78,330(=6,090円/月×12か月+
ドメイン更新料5,250、制作代15,000)
(4)編集費 67,500 メール会報割付15,000×4回、就職支援セミナ
ー講演テープ起こし7,500
(5)通信費 66,640 第14回総会案内送料66,320(=80円×829通)、
定形外郵送料(1通)240、メール便(1通)80
(6)消耗品費 7,128 第14回総会案内関連5,796(タックシール5,2
92、糊504、新入生向け案内用紙代1,332)
(7)会議費 25,676 5/29打合せ軽食代(4名)7,800、7/31打合せ
お茶代(6名)750、11/28打合せ(2名)お茶代
900、12/11打合せ弁当代(8名)8000、2/26
発送作業弁当・お茶代(5名)5625、3/26発
送作業おにぎり他(5名)2,601
(8)総会開催費 217,250 2010.5.29開催第13回総会支出(下記参照)
(9)大学協力金/慶弔金 37,440 学生顕彰副賞代23,110(21個)、メッセージカ
ード及び封筒2,100、プリンターインク7,580、
就職支援セミナーインク代1,050/太田氏(文
理16)弔電3,600
(10)福利厚生費 1,875 7/28会費制暑気払い会の不足金補填
(11)雑費 18,361 備品代9,896(同窓会角印5,341、スタンプ台
105、ICレコーダ4,450)振込手数料525円、
郵便局→銀行振込手数料840(420円×2回)、
1000円カンパ振込手数料6,000(56件分合計)、
振込用紙へ印字代1,100
当期支出合計 C 541,800
当期収支差額 A-C 194,819
次期繰越金 B-C 1,965,536
----------------------------------------------------------------------
III)第13回総会収支 2010.5.29開催
----------------------------------------------------------------------
T.収入の部
総会参加費収入 320,000 卒業生・教官32名×10,000円
U.支出の部
物理会開催費 217,250
(1)会場費・機材費 197,250 サンケイ会館(同窓会パック7000円×28名分、
3000円×2名分、インターネット接続料5250円、
前年度支払い内金 −10,000円
(2)講師謝礼 20,000 講師:松本節子氏(明治大学教授)
(3)講師交通費 0 謝礼に含む
(4)打ち合わせ費 0
総会収支 102,750
----------------------------------------------------------------------
▲2010年度決算報告を上記の通り報告致します。 2011年5月9日
会計/近藤一郎 志水久
▲以上 監査の結果正確である事を確認致しました。
監査/松原正樹 清水邦男
======================================================================
■ 第14回信州大学物理会総会の報告 ■
----------------------------------------------------------------------
∩ ∩ ◆ 第14回総会は、2011年5月28日(土曜日)、信州
☆(*^−^)☆ 大学松本キャンパスに於いて理学部の教室を借りて開
┏━○━○━━━┓ 催されました。14:00開会、第一部の記念講演は大阪
┃第┃14┃回┃物┃ 府教育委員である小河勝氏(文理18回)より「今日の
┣━ ━\/━ ━┫ 学力の実態とモジュール(短時間集中型反復学習法)の
┃理┃会┃総┃会┃ 可能性」と題して教育の現状と改革についてお話しい
┗━┻━┻━┻━┛ ただきました。
講演会は、長野県教育委員会、松本市教育委員会、信濃毎日新聞、中日新聞
社、市民タイムス、テレビ松本ケーブルビジョンの後援を得て一般にも開放し、
同窓生のみならず松本市をはじめ長野県内外の教育関係者も多く来場し聴講さ
れました。小河氏のモジュール学習法に関心を持たれた方が多く、1時間余り
の講演の後に別教室を借りて質疑応答を兼ねた「小河さんを囲む懇談会」も行
われました。
懇談会と並行する形で15:20からは第二部の理学部同窓会の総会が開催され
ました。総会には全国各地から約40名の同窓生が集合。過去最高の参加者とな
りまりました。1年間の活動報告、規約の一部改正案他、審議事項はすべて承
認され閉会となりました。記念撮影の後、場所をラウンジに移し第三部の懇親
会となりました。懇親会は教員、学生を交え、また文理学部、理学部の同窓生
が世代を越えて集い、語り合う良い機会となりました。
以下に太平博久さん(6S)が記録した議事録をもって報告いたします。
【続き・全文→ http://www.supaa.com/soukai110528/index.html 】
======================================================================
■ 信大理学部講演会を終えて ■
----------------------------------------------------------------------
小河 勝(文理18回/電子研究室・大阪府教育委員 奈良県在住)
----------------------------------------------------------------------
、∩∩ 3桁×3桁の計算の正答率が5割。その背後にある+、―、
⊂田田⊃ ×のつまずきの深刻さ、九九を3割以上間違う中学生が10%
⊂田田⊃ もいる現実。これらの実態を示すデータは聞いていただいてい
/∪∪ た先生方を驚愕せしめるに十分でした。
「自分たちが学生に見る不可解な実態がこれほどひどい現実を背景にしていた
とは」……これがその方々の驚きであったのです。それは「ゆとり教育」のせ
いではありません。そのはるか前、1968年国会通過、1971年実施された「教育
の現代化」と呼ばれた指導要領にあります。
この指導要領はそれまで3年かけて学んできた内容を1年間で完了させる変
更内容でした。この指導要領は文字通り日本の教育を一挙に破壊したのでした。
そしてこの状況がすでに40年間もの年月、この日本で進んでいるのです。「学
力低下」が叫ばれて久しいわけですがその現実の根源的構造は相当大きな背景
を持っているというべきです。
懇親会の席上でも申し上げたことですが「中国の文化大革命はあの国の国民
には大変な忌まわしい15年間だと認識されています。彼らはその時代に失われ
た歴史と文化の回復を必死に取り戻そうと意識し努力している。ところがわが
国ではこの恐ろしい基礎学力の空洞化はほとんど誰もが知らない。現在45歳以
下の人々は大なり小なり深い影響を受けているにもかかわらず、誰一人意識し
ないまま時代だけが過ぎていく」というわけです。
「エリートは3%でいい」……この言葉を記憶しておられるでしょう。1968年、
国会で「教育の現代化」というこの指導要領が押し通される年の数年前のこと
です。この言葉は広範な国民の怒りを受けて表舞台から引っ込みました。しか
し深部の国家政策として狙いそのものは推し進められました。国民を賢くする
ために金を使う必要はない、むしろ国民は賢くなくてよい、それがわが国の基
本方針となったのです。
私はこの源流はアメリカの軍産複合体の戦略であると推測します。この数年
前、アメリカの政財界の中枢部で3層の労働政策が出されます。エリート、正
社員、派遣社員です。派遣社員には高度な学習はいらないとされます。この政
策が日本に持ち込まれ日本の政財界の中枢部には「エリートは3%」の論が出
てきます。これは日本の土台を次第に壊していきました。
この指導要領で育った生徒たちが1977年、中学校へ入学します。それが「荒
れる中学校」の時代の始まりです。基礎学力のない生徒は荒れます。人生の未
来をもてないのですから。その現実を数十年も継続させながらこの国は進んで
いる。知的基盤を衰弱させながらこの国家は間違いなく沈んで行きつつある、
そう思います。国民一人ひとりの知的基盤を強化しなければならない。それは
国民一人ひとりの権利であるとともに、日本の国を再生させるための国家全体
の軸足のような課題です。
皆さんに提案があります。この国家的現実を打開するために力を合わせて行
動しませんか。原因や構造は明らかであります。
今、わが国の教育学研究者は一部のエリートになるために激烈な競争を生き
抜くための努力にあけくれるだけか、「楽しく、生き生きと勉強しさえすれば
いい」という学習法か、両極に分化しております。ある理系大学の教授はご自
分なりの調査を学生たちに開始されました。ある高校進路担当の先生はご自分
の勤務校で学力回復のために私が提唱するモジュールを実践しようと企画され
ました。
私自身、できればもう少し余裕のある時間をいただいて改めて詳しく説明さ
せていただける機会がないかと思っております。従って、もし、このような問
題についてどこかの研究会、学会で論議される機会がありましたらぜひとも呼
んでいただければありがたく思うのです。参加していただいた先生方にはぜひ
これからもご連絡いただけることを切に希望する次第です。
【講演録音(ノーカット版)→ http://www.supaa.com/pages/ogo_sp.html 】
======================================================================
■ 物理同窓会初参加 ■
----------------------------------------------------------------------
岡村 俊紀(理学19S/電子研究室・新興出版社啓林館 大阪市在住)
----------------------------------------------------------------------
⌒/\ 学生時代,私は剣道部に所属していて,研究室にはほとん
-/| \ ⌒⌒ ど顔も出さず,三郷の穴倉のシンチレーションカウンターが
/_|___\ 記録してくれた数値をまとめただけで,かろうじて卒業させ
__L____ ていただきました。全く不真面目な学生で同窓会に顔を出せ
\_____/〜〜 るような立場ではないと思っていたのです。しかし,今回小
〜〜〜〜〜〜 河先生のご講演があることを知りまして,思い切って参加を
申し込みました。
卒業後,私は大阪で新興出版社啓林館という会社に就職しました。検定教科
書や教材を発行している出版社です。編集部へ配属され,物理の教科書や問題
集を担当しました。その後,高校理科の編集課長,小中高の理科教科書の編集
部長を経て,現在は,書店販売の小中高の教科書準拠教材や問題集,ドリルな
どの編集を担当しています。
「教科書トレーニング」というシリーズの中学校用問題集を,小河先生の著書
「学力低下を克服する本」で,家庭でできる教材としてご紹介いただきました
(弊社ホームページにも推薦文があります)。
このころは,私は教科書の編集を担当しておりましたのでその経緯は存じま
せんでしたが,橋下知事のもと教育改革を進める大阪府の教育委員をお勤めで
あること,その中でも特に期待の大きな先生であるということは存じておりま
した。その先生が,信大の宇宙線研究室の同窓であったことがわかり,大変感
激いたしました。ぜひお目にかかりたいと思い,今回参加させていただいた次
第です。小河先生のご講演を伺って私の立場で何かできればと思いました。
同窓会は同級生どころか大先輩ばかりでしたが,物理を志したもの同士の空
間は居心地の悪いところではありませんでした。仕事の関連で思わぬつながり
があるという驚きもありました。教員をされている先輩には興味深いお話も伺
えました。
社会的に不安が大きくなっている時代。このような時こそ人と人のつながり
を大切にしていくために信州大学物理同窓会の役割も大きいのではないかと思
います。来年は東京ということですが,なんとか都合をつけてまた出席させて
いただければと思っています。
======================================================================
┃惜┃春┃の┃詩┃ 〜 松崎 一先生を語る 〜
┗━┗━┗━┗━
●松崎 一 先生 1917年・大正6年、更級郡稲荷山町(現更埴市)
に生まれる。旧制松本高等学校から東京帝国大学理学部物理学科
入学。1942年・昭和17年、松本高等学校講師嘱託、同校教授任官。
信州大学文理学部を経て同大学教養部に在籍。1983年・昭和58年
に退官。その間、同大学図書館長、教養部長を歴任。同年、松商
学園短期大学学長就任され、1993年・平成5年に同大学を退職。
ことし2月にお亡くなりになった松崎先生を偲んで、5月15日に追悼会が開か
れました。会場の県の森文化会館講堂には、多くの教え子やゆかりの一般市民
が駆けつけました。「語り部」が次々に登壇して先生との思い出をスピーチす
る形式で、遺族をまじえてしめやかにかつ盛大な会となりました。
その際に配布された文集のなかから、物理科関係者の寄稿をWEBサイトに
掲載しました。すなわち、宮地良彦(信州大学元学長・信州白線会会長)、
平林喜明(文理第6回卒業 )、根建恭典(文理第9回卒業)、松原正樹(文
理第10回卒業)、清水邦男(文理第11回卒業)、吉江 寛(信州大学理学部元
教授)の各氏からのものです。次のアドレスからお読みください。
【松崎先生追悼文→ http://www.supaa.com/moromoro/matsuzaki/index.html 】
今回、根建恭典会長から新たに、松崎先生とのエピソードを寄稿いただいた
ので以下に紹介します。
------------------------------------------------------------
___◆忘れられない松崎先生の思い出____________
根建 恭典(文理9/松崎研究室・当会会長 調布市在住)
------------------------------------------------------------
☆ ☆ 先生には、いくつもの思い出がある。物理を専攻したからには、
\☆\ 物理の理論は、数式で理解するものだとは言われていた。力学・
☆\\\ 電磁気学・量子力学等については、何とか判らないまま済まして
\\\ いたが、松崎先生の物理数学だけは、数式で理解する範疇ではな
く、授業を理解するのも大変であったが、期末には試験がある。
朝9時には、先生が教室の黒板に3題の問題を書き、教室を出
て行かれる。試験を受けているのは、20人ぐらいだったが、隣人
の答案を見ても当てにはならず、隣人もこちらを見ても当てには
ならない。時間が経過する中、12時近くになると先生が来られて、
各自の答案をご覧になり「皆さん昼食を取って来なさい」。
この時点で1題目の答案が完成前であり、寮に帰って食事をし、
部屋でノートを見ても、図書館に行って調べても回答は無いこと
が判っており、仕方なく、1時に教室に行くと三々五々と集まり、
試験問題に取り組み、悪戦苦闘をするが全く自信のない答案であ
る。そうこうしていると5時となり、「そろそろ答案を出してく
れ」と言われ、3題目の半分程度である。諦めて提出したが、全
く自信がない。
翌日、研究室の前に出席簿があり、そこに○印があり、10個あ
った。20人中10人しか合格していない。どうやら私は○印であっ
たが、物理科は必修科目であり、他科は選択科目であった。とこ
ろが、物理科の先輩でこの単位だけが取れずに2年も留年してい
る方には、○印が見当たらない。私は、松崎研究室で卒業研究を
していたので、その方が、連日の追試験で4日ぐらい来られたの
を見ていた。最後は、合格され卒業された。
先生は、「君達が卒業して、それはどの先生に習ったのかと言
われた時は、僕が恥をかくから、しっかり勉強してくれよ」と言
われていた。私は、2日も追試験を受けたら、気が狂ってしまう
だろう。卒業後も物理数学の答案が書けない夢を20年間も見て
いた。
物理の同窓会で話をしたら、優秀な先輩方々が一斉に話だし、
初めに3題を黒板に書かれて出て行かれたが、これはどうも難し
いので、先生に問題を出し直して貰うようお願いをして、改めて
3題を書かれて行かれた。これも全く難解で解けずに苦労したと
のお話を聞き、私は間違って合格したと理解することにした。そ
れ以来、夢は見なくなった。
======================================================================
■ 物理6Sの近況など ■
----------------------------------------------------------------------
松井 豊(理学6S /統計研究室 鎌倉市在住)
----------------------------------------------------------------------
ヽ│/ ⌒ヽ 物理6Sは、昭和46年(1971年)入学ですから、
−◎── ( ) 今年でちょうど入学40周年となります。入学時に
/│\ ( ) は、35名が在籍していました。卒業は、事情で5
⌒ヽ ノ )_ 年かかったものも、在学許可年限8年を使いきっ
( ー´ ) た豪傑もいます。(6Sの恒例新年会には欠かさ
ず名古屋から駆けつけています。)現役入学では、
来年還暦ですが、浪人をしたものは、昨年あたりから年金をもらう年齢となり、
新年会では、なんと年金と孫も話題となりつつあります。
さて、今から15年程前に所沢在住の西原君が、東京周辺に住んでいて連絡が
つく物理6Sの面々に池袋で新年会をやらないかと声をかけたのが始まりです。
12名程が集まり今までの各人の経験・旅行等の話で盛り上がり、是非毎年やろ
うということになり、その後毎年欠かさず東京周辺で1月末の土曜日の夜に楽
しい時間を過ごしています。
いつも常連が12名程出席し大阪、名古屋周辺からも参加しています。この15
年間では、番外編として浅間温泉、山梨勝沼、白骨温泉で有志の集まりも催し
ています。2008年6月の白骨温泉宿泊宴会では、鷺坂先生をお誘いして親しく
お話を伺い、大変懐かしい時間を過ごしました。
大学卒業後36年も過ぎているわけですから各人の経歴も多岐に渡り、話は尽
きることはありません。例えば、清貧世界一周旅行、臨死体験、欧米研究施設
の裏話等々は、今後のリレー談話にご期待ください。
私事ですが、昨年思い立って初めてバスツアーで安曇野、白馬、上高地等を
回りましたが、ツアー旅行では、その地方を深く理解するのは、難しいと感じ
ました。最近は、ツアーで欧米を旅行がポピュラーですが、一人で苦労しなが
らのその土地の人と接し、苦労してバスや列車を乗り継ぎ、観光用でない現地
の食事をすることが, その土地の理解につながると思います。
例えば、フランス、ドイツでは、週35時間労働。もちろん残業なし。即ち金
曜は午前中だけ、もちろん土日は休み。(バカンスは3週間連続が基本。雇用
者は、勤労者の年間有給休暇をすべてその年のうちに消化させることが義務)
このような情報は、マスコミ等ではほとんど伝えられません。
今年の物理6S新年会では、既に引退して年金生活に入っているとの声も聞
かれました。私が勤務していたフランスの会社のフランス本社で定年や早期退
職する方々は、これから別荘での生活や趣味の楽しい引退生活の話を何度も聞
きました。これから定年を迎える我々は、会社や学校にしがみつくのでなく若
者の将来に道をあけましょう。
私は、定年後の2nd life として雇用されるのではなく、雇用を創出する側
になろうと思い土地家屋調査士業を開業しました。個人事業でも法人でも起業
して登録することにより、所得から控除できる項目が増えて税金面でも有利で
す。嘱託として低い給与で雇用されるよりも起業するメリットは大きいと考え
ます。
国家資格であり独占的な業務を任されている資格の中で司法書士、土地家屋
調査士、弁理士、社会保険労務士等々比較的容易に取得できるものは個人事業
として開業が可能で、なかには数十名のスタッフを擁して手広く営まれている
方もいます。私としては、数名のスタッフを雇用する標準的な事務所にするの
が目標です。事業の運営面からもスタッフがいないと効率が上がりません。
なお、日本の土地家屋調査士制度の発足のために尽力されたのは、なんと松
本で前身の業務を行っていた方々で、調査士発祥の地の石碑が、信州大学の旭
キャンパスの近くの公園に建てられています。
======================================================================
□■□□■□ ┃新┃入┃学┃生┃か┃ら┃の┃声(メッセージ) □■□
┗━┗━┗━┗━┗━┗━┗━┗━
----------------------------------------------------------------------
ことしの新入学生から、現在の心境と抱負などを伝えてもらいました。
さて、本学を選んだ理由など、フレッシュな声に耳を傾けましょう。
* * * * * * * * * * * * * * /@) ⊃\/|
■ 「シンシュウ」というヒビキ 平良 優大(理学11S) > ⊃⊃/\|
----------------------------------------------------------------------
「シンシュウ」、このヒビキ。木立の中にひっそりとたたずむ、そんな雰囲気
と田舎の良さを想像させる、そんなヒビキを感じる。
高2の夏に、県外の大学に行きたいと何となく思い、父と2人でふらりと出
た。自らの成績を考慮せずに、大学名のヒビキで東京近辺の2つの大学を訪れ
た。一つは駅からはき出されるように出た正面にあり、せわしい感じを受けた。
学内を散策したものの駅の近くがいかにも都会である。この雰囲気ではない、
そんな印象を持ちながら2つ目の大学を訪問した。大きないかにも歴史を感じ
させる木々の中を通り抜ける正門に通じる道が落ち着いた雰囲気。良いなあと
思いながら正門を抜けると、先の大学よりこじんまりとした学内、通路は枯れ
葉が雑に重なり、正門に通じる小道とアンバランスな印象を受けた。
夏が終わり、担任の先生からせかされるようになって進学先の大学を探し始
めた。そんなときに出会ったのが、「シンシュウ」である。夏に訪れた二つの
大学をも担任の先生に伝えながら、何かしら郷愁に似た思いを抱きながら、い
つしか「シンシュウ」を目指すようになった。どのような学科があるかも詳し
く調べようともせずに、日々の学校での勉強に精を出したように思う。
山奥のひっそりとした大学での勉強をとのあのころの思いは、4月信州大学
に入学して3ヶ月、日々の講義、レポート作成など大学生活や日々の生活に慣
れようと夢中で、次第に薄れていくようである。
休みに散策する松本は、歴史のある家並みや古い神社や寺、そして松本城、
周りを山々に囲まれ自然と文化の豊かな地域である。
専攻の学習ばかりでなく、地域の文化や自然、人と交わり、沖縄にはそうは
ない古い寺での説教を受けるなど、多くの体験をしてみたい。ひっそりと奥深
い里のイメージの「シンシュウ」を、これからの人と人との繋がりを深める体
験や学習を通して、この4年間でもっともっと奥の深い、豊かな「シンシュウ」
していくために。
* * * * * * * * * * * * * * /@) ⊃\/|
■ 信州大学物理科学科に入って 畠山 和也(理学11S) > ⊃⊃/\|
----------------------------------------------------------------------
信州大学物理科学化に入って早くも3か月近くが過ぎました。素粒子学をは
じめとした物理の勉強ができること、また将来の夢のために教員資格をとると
いう二つの目的のために私は物理科学科に入学し、大学では自分のやりたいこ
とを専門的に深く勉強できるということで、非常に楽しみにしていました。
実際に入ってみても楽しいことがたくさんありました、たとえば専門的な知
識を持っている教授の授業を受けれること、日本中から集まった新しい友人、
様々なサークル活動などあげていくときりがないくらいです。しかしその反面、
苦労・困惑することも多くありました、とくに自由がありすぎるという点です、
いざ好きなことをしてもいいといわれると、自分が本当にしたいことが一体
なんなのかが分からなくなることもありました、また高校の物理では使わない
微分積分学が大学では普通に使われていることです、本当の物理ができること
は面白かったのですが、やはり慣れないことなのでとても難しかったです。
しかし、だんだんと今の生活にも慣れて、授業の内容もだんだんと理解でき
るようにもなり、物理学の面白さ、そして奥深さががよりわかってきました。
まだこれから4年間物理の勉強をして、さらに深い知識を身に着けたいと思い
ます。同時に、勉強だけでなくクラスやサークルの友人との仲を深め、どちら
も充実した学生生活を送っていきたいと思います。
* * * * * * * * * * * * * * /@) ⊃\/|
■ 大学に入ってから 福原 俊(理学11S) > ⊃⊃/\|
----------------------------------------------------------------------
「なぜ鳥は飛べるのだろうか」「冷蔵庫はどうして冷たいのだろうか」「テレ
ビどうして映像を移すことができるのだろう」など、わたしは、小さいころか
らよく身の回りの科学現象に「なぜ?」と思うことがよくあり、その現象の理
屈ついて勉強していきたいと思っていました。
予備校で受験浪人をしていて、各大学の物理学系の研究を調べていたときに、
超電導物質や宇宙線、素粒子の高エネルギー実験など、面白そうな物理研究が
多く、豊かな自然に囲まれていて、科学について学ぶ環境としてとてもいい大
学だと思ったので、私は信州大学理学部物理科学科に入学しようと思いました。
信州大学に入学してからおよそ三ヶ月がたちましたが、大学生は時間に余裕
があるから自分の興味の持ったことに没頭できるなと思っていたのですが、実
際は当初考えていたよりもずっと忙しく、毎日きりきり舞いで生活しています。
このことが関係しているのかどうかはわかりませんが、三カ月で体重が13kg
も減りました(笑)。しかし、忙しいからこそ私はとても幸せで、充実した生
活ができていると、常日頃思っています。入試で合格を掴み取ることができな
かった人、3月に起きた東日本大震災の影響で、勉強をしたくてもできない人
はたくさんいると思います。そのことを考えると、今自分が置かれている状況
に感謝し、精一杯学業や課外活動に取り組まなければ、と時々自分自身に喝を
いれるときがあります。
私はまだ具体的にどのような研究をしていくかということを決めていません。
というよりも将来大学教授になって研究に没頭するのか、高校の教師になって
物理学の楽しさを伝えていくのか、まだ自分がどのような道に進みたいのかと
いうことが決まっていません。しかしどのようなことに興味を持ってもその道
にどんどん進んでいけるように、常に幅広い視野を持ちかつ今勉強しているこ
とを大事にし、充実した大学生活を送りたいと思います。
* * * * * * * * * * * * * * /@) ⊃\/|
■ 信州大学で学びたいこと 前田 彩那(理学11S) > ⊃⊃/\|
----------------------------------------------------------------------
全国に数多くある国立大学の中で私がこの信州大学を進学先の候補にいれよ
うと思った理由は両親の母校だったからです。また、信州大学には全国各地か
ら学生が集まると聞いたことがあったので様々な人と交流できると思ったから
です。
4月に入学式を終えてからもう3ヵ月がたちました。日々の講義を通して私
はこの信州大学で学びたいことや身に着けたいことがいくつかできました。
まず、物理学です。「物理学ゼミナール」という講義で物理現象に関するプ
レゼンテーションを行いました。その講義を通して同じ物理科学科の人たちと
話し合うことで、みんな物理に関する様々な知識や興味を持っていることを知
りました。そんな人たちと疑問をぶつけながら考えを深めてゆくことは高校時
代には体験したことがなく、楽しいと感じました。せっかく物理科学科に入学
できたのだから物理に関して誰かと議論し合えるくらい深い知識を身に着けた
いと思います。
2つ目はコア・サイエンス・ティーチャーです。私は将来、中学校教諭にな
ろうと思っています。受験時、教育学部に進学するか迷っていましたが理学部
に願書を提出したのは「専門的な知識を持った教師」になりたかったからです。
そのような私の希望に沿うような試みが信州大学では行われていました。それ
が「信大コア・サイエンス・ティーチャー養成プログラム」です。
コア・サイエンス・ティーチャー(CST)とは「優れた教育実践を行い、
理科教育において中核的な役割を担う小・中学校教員」のことです。このCS
Tは私が目指している教師像に近く、実際の講義では高校時代に学ばなかった
科学科目に関してCSTを目指す人同士で教え合うことや、授業において様々
な機器を使いこなせるようになることを方針としています。
自分の夢に直接関与するようなことを日々取り扱うので、将来に関する希望
や期待に胸を膨らませたり、今の自分を見つめなし改善してゆくこともできま
す。
最後は人間力です。冒頭に書いた通り信州大学には全国各地から人が集まっ
ています。そのため、いろんな人と関わることができます。しかし、関わらな
いこともできます。大学は自分から動けばいくらでもいろんな経験ができる場
であると感じます。そして、その逆も然りです。信州大学に集う各地の人たち
と関わり自分の視野を広げ、様々な経験を通して人間力をのばすか、何事のも
なく平凡な大学生活を送るかは自分の行動力次第だと思います。私は前者であ
りたいです。
以上の3つが今現在、私が大学で学びたいこと、身に着けたいことです。し
かし、これからもっともっと増えると思います。それがどんなことでも自分か
ら行動することが大事だと思います。だから、これから私は何事にも積極的・
能動的であろうと思います。
======================================================================
┃イ┃ベ┃ン┃ト ┃ご┃案┃内
┗━┗━┗━┗━ ┗━┗━┗━
----------------------------------------------------------------------
◎信州大学物理同窓会 暑気払いの会
----------------------------------------------------------------------
宮地先生を囲んで開催されるこの会は、ことしで2回め。宮地先生、武田先
生ほか、現在10名ほどの参加が予定されています。
■ 日時:7月27日(水) 18時
■ 会場:しづか(松本市大手 4-10-8 旧上土町)Tel: 0263-32-0547
■ 会費:7000円
■ 世話人 赤羽徳英(文理10回卒)Email: toku.akabane@go.tvm.ne.jp
----------------------------------------------------------------------
◎信州自然誌科学館 2011「自然をみつめる」
----------------------------------------------------------------------
■ 日時:8 月 6日(土)、8 月 7 日(日)10:00~16:00
■ 会場:信州大学理学部 (松本市旭3-1-1) TEL:0263-37-3142
■ 対象: 小学生、中学生、高校生、一般
■ 参加費:無料
■ 特別企画:松本市長 菅谷 昭 先生、信州大学理学部教授 宗像 一起先生の
講演会があります(7日、10:00-12:00)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
自然科学の広い領域にわたって、実験や観察、工夫 〜〜〜〜〜
等を通して、自然やものと五感でふれあい、自然や科 \______/
学のできごとをさまざまな企画を通して体験できます。 / \、
数学・物理・地質・化学・生物・環境の世界を実物や o。 _/} ,\
実験で紹介するブース展示、科学の不思議な世界を紹 <')_><{ l
介するパネル展示、生きている大地に触れる体験講座 \ ` `/
第一線で活躍する科学者の語る科学の世界など、盛り
だくさん用意しております
信州自然誌科学館 2011「自然をみつめる」実行委員長 佐藤 利幸
=====================================================================
┏━┏━┏━┏━┏━┏━┏━┏━┏━┏━┏━ ┏━┏━┏━
┃大┃塚┃直┃彦┃の┃ウ┃ィ┃ー┃ン┃便┃り ┃第┃8┃回
----------------------------------------------------------------------
◎再びアメリカへ
----------------------------------------------------------------------
大塚 直彦(理学24S/国際原子力機関・IAEA勤務)
----------------------------------------------------------------------
会誌編集長から原稿の依頼を受けたのが丁度出張前で、出張という普段の生
活とは違う体験は原稿に起こしやすいという事情から、「ウィーン便り」とい
う枠でまたまたアメリカの話になりますがご容赦ください。同僚が受けた米国
原子力学会の招待講演を回されたのが事の起こりです。場所が東海岸の南端の
マイアミというのにひかれてつい引き受けてしまいました。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ マイアミに降り立ってみると……
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
o 日本の学会と同様、講演の概要をまとめたものを予め提出
⊂二二⊃ せよということで、ページ数の制限がないのを不審に思いつ
⊂| |⊃ つ提出したら175ドル取られました。ページ数が多ければも
|___| っと沢山払わねばならないところでした。
()()()()()
それから参加登録をすることになったのですがその参加料
の高さにも驚きました。招待講演だから無料かと思いきや700ドルも取られ、
これは国際会議並です。日本の物理学会に入会して講演するのに比べて3倍く
らいかかったと思われます。
ウィーンからフランクフルトまで出て、そこからマイアミへは直行便でした。
ボーイングのA380という搭乗口も含め全二階建てという巨体です。マイアミに
降り立ってみたところが海に近いせいかひどく蒸し暑く閉口しました。学会の
会場のホテルに宿を取ると一泊250$とひどく値が張るので、会場から8 kmほど
離れた海辺の簡素なホテルに投宿することにしていました。
くたびれた建物ながら台所もあり中庭がスペイン風で綺麗でした。宿屋で、
同僚の仕事を理解すべく論文を読みつつ講演の準備を行い、また気分転換に浜
辺を散歩します。台所はあるものの食材を買う場所が海の家くらいしか見あた
らず、日々カップラーメンやポテトチップスにビールと不健康な食生活を送り
ました。
旅行前の調べでは宿から会場までの乗合バスがあるはずでしたが、宿屋のお
じさんはそんなバスはないと言うし、同じ宿に居た韓国人の学会参加者も1時
間以上かけて歩いていると言います。最終的に宿から会場までバスが45分に一
本あることが分かりましたが、この国での公共交通機関の存在感の薄さを改め
て思い知らされました。学会参加者でバスを利用していたのは他に日本人1人
とインド人1人くらいで、殆どの人はレンタカーを借りて自分のホテルと会場
を往復していたようです。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 講演時間になっても現れない人
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
学会の会場はホテルを借り上げているだけあってなかなか立派でした。その
進め方などは日本の学会と大きな違いはありませんでしたが、
「事前に連絡なく講演に現れなかった場合には、次回以降の講演申込みを 受
け付けないことがある」
というような注意書きに驚きました。
ところが、実際には講演時間になって座長が呼んでも現れない人が時々いて、
座長の裁量で講演時間をずらすこともあればコーヒーブレークになることもあ
りました。日本の物理学会だと時間切れになるとランプがついたりブザーがな
ったりしますが、そういう装置は見あたらず座長の裁量で柔軟に進めていまし
た。
この講演時間になっても現れない人の一部はロスアラモス研究所の人たちで、
彼らは研究所の裏山が火事になり研究所が閉鎖され街を追い出されたわけです。
実は私もマイアミの学会のあとロスアラモスに1週間滞在する予定だったので、
ホテルから宿泊不可のメールが送られてきて参りました。
マイアミからの移動当日もロスアラモスの避難命令は解除されておらず、山
麓のサンタフェに2泊してからようやく日曜にロスアラモスに入ることができ
ました。その頃には煙に覆われていたロスアラモスをサンタフェから眺められ
るようになりましたが、ロスアラモスに着いてから研究所の閉鎖が解除される
までに更に二日を要しました。(最も月曜は独立記念日でもともと仕事のない
日だったのですが。)
ホテルがキャンセルされてしまったわけですが、幸いホストの家族が帰国し
ていたこともあり、ホスト宅に居候することになりました。山火事はとりあえ
ず被害が及ばない限り燃えるに任せるといった感じで、滞在期間中少しづつ場
所を移しながら山火事は消えることがなく、日が暮れると山火事の火が相当に
広い範囲に渡って見えるのが不気味でした。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ ロスアラモス研究所
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ロスアラモス研究所はマンハッタン計画の中心になったことでよく知られて
いますが、現在でも核兵器関連の研究が行われているようで、理論グループの
建家もその一部はアメリカの市民権のない人は入れないようになってます。研
究所敷地全体の出入りを管理するゲートは見あたらず、誰でも入れそうですが、
建家にはバッジをかざさないと入れないというような仕組みになっていました。
滞在中にセミナーをする予定になっていたのですが、山火事の間に溜まった
仕事を処理するのに皆さん忙しくセミナーはキャンセルになりました。それで
も何人かの研究者に個別に会って色々と話をすることができて大変有意義でし
た。
理論の人たちに加えてLANSCEと呼ばれる800 MeV陽子ライナックを中心装置と
する施設で、中性子入射核反応実験を行っている人たちの研究室を訪問するこ
とができました。普段メールでしかやりとりできない人と直接会うことができ
て、本当に嬉しいことでした。
昨日は飛行機で雪をいだくコロラドの山を越えてデンバーの空港に到着して
乗り継ぎ、更にフランクフルトで乗り継いでウィーンに戻ってきました。
私がマイアミに居たころのウィーンは肌寒い日が多かったそうですが、ウィ
ーンの空港に降り立つとひどく暑い上に蒸し暑くて少しがっかりしました。実
際、これから7月末までがウィーンでは最も暑い時期ということになります。
●『OB/OG』第6回→( http://www.supaa.com/kikou/otsuka01.html )
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
======================================================================
<再掲>■「同窓会費」は終身会費として1万円。『会計細則』決まる!■
----------------------------------------------------------------------
1.同窓会費は終身会費として1万円とする。一括払いを原則とするが、本
人からの申し出があった場合は事務局長が分割払いを認めることができる。
2.事務局長名で金融機関に同窓会の口座を設ける。事務局長が通帳・印鑑
を 管理する。会計担当がカードを管理して口座からの出し入れなどを行う。
3.在校生からの同窓会費徴収は、事務局が徴収日を決めて実施する。徴収
後、在校生の会費支払い者リストは、すみやかに会長ほか、会計担当および
関連事務局員に伝達する。
4.金融機関への振込み手数料は会員の負担とする。
5.会計担当は、年1回開催する総会を利用したり、メールで呼びかけたり
して、 卒業生からの会費徴収に勤める。
6.毎年開催の同窓会総会における参加費の徴集など会計管理については、
その年の幹事が担当し、事務局が補佐する。必要経費は事務局から事前に仮
払いのかたちで支出できる。幹事は開催後しかるべく早く収支を事務局に報
告し清算する。
7.会計年度を4月から翌年3月とする。 ┳ξ
会計はすみやかに決算報告を作成 ●●●
して会計監査担当から監査を受ける。 ●●
●
8.本細則の改正は総会で行う。
┏━┳━┳━┳━┓
▼下記いずれかの口座に┃同┃窓┃会┃費┃のお振込みをお願いします!
┗━┻━┻━┻━┛
------------------------------------------------------------------
◆郵便局の場合/通常郵便貯金
記号:11150 番号:20343411
口座名義:信大物理同窓会 代表者 武田三男(たけだみつお)
住所:390-8621 松本市旭3-1-1
◆銀行の場合/八十二銀行 信州大学前支店
店番号:421 普通預金 口座番号:650215
口座名義:信大物理同窓会 代表者 武田三男(たけだみつお)
住所:390-8621 松本市旭3-1-1
 ̄/ ̄/ ̄/ ̄/ ̄/ ̄/ ̄/ ̄/ ̄ ◎編集後記◎/ ̄/ ̄/ ̄/ ̄/ ̄/ ̄/ ̄/ ̄/ ̄/ ̄
●・・ことしの総会には四つほど新しい試みがありました。ひ
/\ ☆ とつは恩師(現役を含めて)に対して懇親会へ無料招待。ふた
│○│ つめは、上記を実現する財源として会員に千円のカンパを要請。
│ │ 三つめに記念講演の一般公開、そして四つめに記念講演を外部
/| |\ 団体(教育委員会やマスコミ)から後援をしていただくこと。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ●・・狙いは100%達成とまではいえませんが、聴衆や総会参
|||| 加者が過去最多になるなど、満足のいくものだったと思います。
特にカンパは89名の方々から寄せていただき、多くの同窓生か
ら温かく見守られているのだ感じました。総会幹事会は計7回ほど開催。なか
には上田から片道1時間もかけて駆けつけてくれる幹事もいて、何回もの発送
作業など、頭の下がる思い。準備に多くの時間と労力を要する総会でした。終
了後、幹事が集まり反省会を持ちました。この教訓を次回に生かせれば……。
●・・ことしの学部卒業生の進路を見せてもらうと【その他】8名とあります。
ここには就職希望者も含まれているようです。昨年は【未定】3名だったこと
と比べると急上昇。就職の厳しさを反映しています。同窓会として、何かでき
ることはないか? 現在、学部同窓会との間で、名簿をデジタル管理化して、
学生の就活に活かせるように整備する話を始めています。教師や学生から必要
とされる活動があってこそ、初めて信頼される同窓会になれるのでは。(MT)
----------------------------------------------------------------------
○・・5月28日 松本に於ける総会は参加者が多く盛大で有意義なものであ
った。小河勝氏の講演会の聴講者が多く、また話題となった事が起因であった
と思う。これを聴講された教育関係者が懇親会に参加して、この場で教育論が
盛り上がり次々と発言者があり知的好奇心に満ちた雰囲気になった。印象に残
る総会になった。これを設営・運営した幹事の皆さんにお礼を申し上げたい。
○・・5月15日 「松崎一先生を語る 惜春の詩」と題して先生の追悼会が
縣の森の講堂で執り行われた。100人以上の先生に薫陶を受けた方々が参加し
て、先生の足跡を語り先生を偲んだ。宮地先生が発起人となり各団体の協力を
得て、手づくりの松崎先生の人柄を表すとても良い追悼会となった。
○・・3月11日 東日本は世紀に一度と云われる大地震と津波に襲われ未曾
有の災害となった。その為に福島の原子力発電所の原子炉が破壊して、放射線
が漏れ世界を汚染する事になった。日本の復興と原発の鎮静安定化が世界の問
われる事になったが、これに対処する政治が余りにもプアーなのが情けない。
○・・7月25日 日本女子サッカーなでしこジャパンが強豪米国に勝ち世界
の覇者となった。まれに遭遇するとても明るくすがすがしい気持ちになった。
○・・当会誌が発行される四半期の間、目まぐるしく事件が発生した時期もめ
ずらしい。 (MM)
===================================
■ MAILMAGAZINE BULLETIN 『信大物理同窓会報』0035号(2011年夏号) ■
□ 2011年7月25日 編集・発行/信大物理同窓会事務局
《編集委員》松原正樹(文理10)藤惇(2S)太平博久(6S)
□編集長:藤 惇 □ 発行人:根建 恭典
┌──┐ (http://www.supaa.com/)
│\/│ (info@supaa.com/) (makoto@insatell.co.jp)
└──┘
___________________________________________________
(C)信州大学物理同窓会事務局 無断複製・転載を禁ず
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|