91Sの土居です。先日、物理同窓会に出席させて頂き、先輩の青木治三氏(文理1)の地震予知に関する講演を聞かせて頂きました。様々な研究、試験がなされている一方で、予知の困難さを認識することができました。そして自然の驚異に対してもっと謙虚にならねばと感じました。
さて今年は世界物理年です。アインシュタインが相対性理論を始めとする革命的な論文をたて続けに発表した「奇跡の年」から100年。私は高校生の時、アインシュタインの書いた「物理学はいかに創られたか」(岩波新書)を友人に薦められ、物理に導かれました。本の内容は殆ど理解できませんでしたが、その未知への好奇心、アインシュタインへの憧れ、あとは物理のテストで点数が伸びた(確か20点→80点)ことが重なったためです。
大学時代は決して勉強熱心だったとは言えませんが、「光を研究したい」という願いが叶い、現在は某通信会社で光ファイバ通信関連の研究開発をしています。そこでは主にFTTH(Fiber To The Home)用の光デバイスを作製しています。
例えばシリコン基板表面に光導波路を有する平面光波回路です。これは基板を酸化(ガラス化)してコアとクラッドを堆積するもので、光ファイバを平面上に押し潰したようなものと想像して頂ければ良いと思います。またインジウムリンなどの化合物半導体基板上にPN接合を形成することによる半導体レーザや光検出素子です(因みに青色発光ダイオードは窒化ガリウム基板)。
これらの素子を集積して大容量の光通信装置を構築するということは物理学の集積でもあります。例えば平面光波回路はマクスウェルの方程式に正確に従い、また受発光素子はプランク定数に依存した光電効果に基づき動作します。普段は顧客の納期や仕様に追われ装置をひたすら開発するわけですが、ふと考えると、光の波動性と粒子性を共存させていることになります。こんなこととか結局、よく分かっていないことの方が多いなあと思う次第です。だから面白いわけで、長く追求して行きたいと考えています。
「奇跡の年」より、その一世紀に渡る現代物理学の歴史を振り返ると、巨大な「プロジェクトX」と言えましょうか。でも、地震予知だって何だって、まだ「チラリ」としかわからないことの方が多いのではないでしょうか。
「主たる神は老獪だが、意地悪じゃない」とはアインシュタインの言葉。その意味が分かれば、また新たなチラリズム、もといブレイクスルーが生まれるのではないでしょうか。
第8回物理会総会幹事・ 土居芳行(91S)
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2001年に正式組織としての「信州大学物理同窓会」発足してから4回めの総会となりました。ホームページやメルマガ会報による公告と同時に、規約の整備や会費集め等の財政的裏付けなどへの関係者のご尽力により、当会もいよいよ船出に漕ぎつけることができた感じです。
“信大物理”では、第1回卒の青木氏をはじめとして、昨年「仁科賞」を受賞された丹羽氏など、数かずのユニークな人材を排出していることが分かります。こうした流れを継承しつつさらに発展させていきたいもの。当会がその一助の役割を果たせればと思います。
しかし現実には独立法人化されて2年めの今年から、理学部の予算が何割もカットされたようで、教官からは口々に“厳しい”“厳しい”との声が聞かれました。また、学部生の大学院進学に際して、他大学大学院への大量流出を嘆く声もありました。
様々な問題に直面している“古巣”です。こんなときこそ我ら同窓生が、知恵のあるものは知恵を出し、お金のあるものはお金を出し(!?)、イベントなどにはみんなで積極的にかかわっていくことによって、よりベターな道を探る必要があるように思います。
各位のご協力をお願いいたします。
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▲会場の前に陣取った受付、幹事のメンメン |
▲開会を告げる司会の 丸山博見(4S)幹事
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▲当同窓会会長・楠秀恵(文理7)のご挨拶 |
▲活動報告・会計報告を行う近藤、小西事務局員 |
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▲美谷島実先生(文理15)の公開講座の説明 |
▲青木治三 氏(文理1)の実に若々しい記念講演 |
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▲プロジェクターで映し出されたレジュメ |
▲中越地震もスマトラ沖地震も施設でキャッチ |
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▲記念講演を熱心に聞き入る参加者のみなさん |
▲老いてますます盛ん(?)な勝木先生 |
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▲宴もたけなわ、飯沼和男(3S)副会長 |
▲根建恭典(文理9)副会長による閉会の辞 |
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■文/土居芳行(91S) ■報告・写真撮影/高藤 惇(2S)
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