第9回信州大学物理会 総会
◆ 第9回総会は、2006年6月3日(土曜日)、名古屋・愛知厚生年金会館で開催。来賓の理学部同窓会・森会長ほか、文理卒12名、理学卒20名の計33名の出席がありました。事務局・近藤一郎さんの翌日のメールに曰く「昨日はお疲れ様でした。 小島さん、小島さんジュニア、岩田さん、本当にありがとうございました。30名を超えたこととともに、 名古屋で実施したゆえに初めて参加した方がいたこと から大成功であったと思います」のごとく、新たな進展を見せた総会でした。丹羽さんの記念講演も圧巻で、参加者に大いなる感動の波を引き起こしました。懇親会では、各自、久々の再会に話が弾み、時間は猛スピードで過ぎてしまいました。最後に、全員が肩を組み、清水さん(文理11)の指揮のもと「春寂寥」の斉唱で締めくくられました。現地の幹事の皆さん、参加いただいた皆さん、ご苦労さまでした。今回の模様は以下に、おふたりからレポートしていただきました。


 現地の準備は,実質的には半年ほど前から,幹事代表の1S小島浩司さんを中心にして進められました.総会の準備をする中で,最初につきあたった問題は日程でした.例年,5月の最終土曜日に開催されているようでしたが,2006年5月27日は,大安の土曜日であり,どこの会場も結婚式と重なって予約がとれないということが,準備を始めてすぐにわかりました.このような事情により,2006年の総会の開催は,例年より1週間遅い6月3日になりました.

 また,準備を進める中で,名古屋で最初の総会開催ということもあり,参加人数が確保できるかということが大変心配されましたが,皆様方のご協力により,総会当日には,文理1回生から02S までという幅広い年齢層の33名(当日参加2名)もの方々にお集まり頂けましたので,ほっとしました.総会当日には,3月に信大物理を卒業され,名大の大学院に在学中の02S小島知高さん(幹事代表のご子息)にもご参加頂き,文理13回生の大河原章子さんとともに,受付をご担当頂きました

 13:00からの総会は,会長の挨拶から始まり,来賓(理学部同窓会会長)の挨拶のあと,信州大学の状況,活動報告,会計報告が成されました.休憩の後,文理17回生で名大教授の丹羽公雄先生から,「ニュートリノは物質?」という題目で学術講演がなされました.

 丹羽先生の講演では,宇宙・素粒子物理学研究の最前線について,私のような素人にもわかりやすく解説頂いたので,最後まで興味深く拝聴することができました.同窓生の一人としては,信大時代に「電磁気学」と「量子力学」といった物理学の基礎をしっかり勉強できたことが良かったという丹羽先生のお言葉が強く印象に残りました.これは,文理学部から理学部に至る信大物理の伝統ではないかと思います.

 一方,総会では,信州大学の状況についての報告があり,現在母校は受験生が集まらないと言う深刻な現状にあるとのことでした.本件に関しては,今後総会でも継続して議論されるとのことです.会議終了後のメール審議の中では,独創性を延ばす教育をめざして,受験生にアピールしてはどうかという意見も出されておりました.独創性を延ばす教育を実践することは,簡単ではないかも知れませんが,大変素晴らしいことであると思います.一方で,同窓生の一人としては,物理学の基礎をしっかり学ぶという信大物理の伝統や学風を絶やさないことも重要ではないかと思います.ユニークな独創力と言うものは,しっかりとした基礎学力があってはじめて発揮できるものであると考えるからです.

 15:00からの懇親会では,幹事代表挨拶,乾杯,自己紹介と続き,最後に恒例?の「春寂寥」の高唱があり,盛会のうちに総会は終了しました.多くの方々のご協力のおかげで,名古屋で最初の物理会総会をつつがなく終えることができました.役員会の方々をはじめ,総会を支えて頂いた多くの方々に,現地幹事の一人として,御礼申し上げます.



 講師 丹羽文夫氏(文理17回生 名古屋大学大学院理学研究科教授) 
 演題「ニュートリノは物質か?」

 氏は原子核乾板の自動検索を根気よく30年間も続けてきた。そしてその 成果が世界に認められた。その成果で、この度、栄誉ある仁科賞を受賞された。我が物理科の出身者から、かくの如き最先端の優秀な研究者が輩出した事は実に喜ばしい。

 乾板には夥しい荷電粒子の軌跡が残されている。その中から有意義な軌跡を どうやって探し出すのか、気の遠くなる仕事である。しかし、氏の情熱のこもった話の仕方は、何事もやり遂げると云う堅固な意志が全身からみなぎり尋常な人ではないと、感じたのは私ばかりではなかったと思う。

 氏はまた、宇宙の dark matter の謎を研究されている。地球が太陽の引力に 引き込まれないのは、ある速度で円軌道描く遠心力が生ずる為である(ニュートン力学)。しかしある星雲系には中心からの距離が大きくなっても加速せず一定なものが数多く観察される。何故引力で中心に引き込まれないのか。周りに質量のある物質が存在しなければならない。摂動である。私には新鮮で夢のある話であった。氏の話に中から次の2点が強く印象に残った。

(1) きちんとした事を教わった。(基礎をちゃんと学んだ。)
(2) 原子核乾板の自動読み取り装置に30年かかった。(仕事は一朝一夕に出来るものではない。)

 とても重みのある言葉である。特に若い方々に傾聴すべき教訓である。 最後に氏はフレッシュマンに云う。「正規軍(東大、京大・・・)でなくてもゲリラ(信大・・・)戦でもいける」と。


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▲開場前に、ロビーで緊急事務局会議を開催

▲冒頭に挨拶をする楠(文理7)当同窓会会長


▲総会議長の飯沼副会長と会計報告の近藤さん

▲厳しい母校の状況を説明する武田事務局長


▲真剣な眼差しで聞き入る参加者の皆さん

▲迫力十分の記念講演をされる丹羽公雄教授


▲ダークマターの解明など、お話は超最新の内容

▲懇親会での乾杯の音頭は青木治三氏(文理1)


▲こうして33名による同窓生の宴がスタート

▲裏表8年、伝説の仁藤清ニ氏(1S)の姿も


▲紅一点、元教師の大河原さんの自己紹介

▲東海理化の重役を勤める久保田氏の近況報告

▲丹羽さんを挟んで両角先生と松原さん

▲最年少、小島知高さん(02S)の自己紹介

■報告・写真撮影/高藤 惇(2S)

=第9回信州大学物理会総会幹事=    
    ■大河原章子(文理13) ■堀田勝義(文理14) 
■小島浩司(1S)  ■久保田一久(2S) 
■滝澤公二(3S) ■岩田 真(19S)


●「信州大学物理同窓会」事務局●

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