《 記念講演会・パネルディスカッション 》
  中村先生の研究室では、素粒子を観察できる写真フィルム(原子核乾板)の
技術を用いて、宇宙の成り立ちに関わるニュートリノを含む素粒子の研究を行
っています。素粒子研究の世界では高エネルギー加速器を用いた粒子の衝突実
験が注目を集めていますが、古くからある原子核乾板という方法も粒子の軌跡
を捕捉する手段として着実な成果を挙げています。最近のテーマとして、暗黒
物質(ダークマター)候補である未知の粒子の探索や、これらの技術を応用し
た宇宙線による巨大構造物の透視(ミューンラジオグラフィ)の研究の現状に
ついてお話しいただきました。構造物の透視技術は、火山の密度解析--火山の
レントゲン写真のようなもの--や製鉄所の溶鉱炉の寿命診断などに応用が期待
されているとのことです。
  第二部は、中村光廣先生と信州大学理学部物理科学科の3人の先生方により
「宇宙の始まりと物質の起源」をテーマにパネルディスカッションが行われま
した。信州大学理学部の竹下先生(高エネルギー実験研究室教授)をコーディ
ネーターに、中村先生、川村先生(素粒子理論研究室教授)、長谷川先生(高
エネルギー実験研究室准教授)に参加いただきました。聴講者からの質問に答
えながら、先端素粒子研究がどこまでたどり着いているのか、実験、理論それ
ぞれの立場から、最新のトピックや今後の展望について分かりやすく説明して
いただきました。
- この10年で我々は宇宙に随分近づいた
  (137億年前と言われる宇宙の創成時の状態について理解が深まった)。
- ダークマターは重力としか相互作用しないのか、あるいは弱い相互作用もするのか。
- 標準模型の先にあるものは、超対称性、余剰次元、ひも理論か。
- ひも理論では、無限に近い解が出てしまう。
- 超対称性粒子は、1TeV〜2TeV(テラエレクトロンボルト) のレンジでは見つかりそうな兆しがない。
- CERNのLHCは今年、来年とシャットダウンしアップグレードされ、エネルギーレベルが現在の8TeVから13TeVになる。
 中村先生、竹下先生ともに大学進学前は物理志望ではなく天文学志望だった
そうで、「セカンドチャレンジは必ずしもネガティブではない」とのこと。
《 総会 議事内容 》
1) 来賓あいさつ
  根建会長(文理9回)の同窓会の発展を祈念する挨拶にはじまり、安曇野市
からお越しいただいた名誉顧問の永井先生(元理学部長)、理学部長の武田先生(理学4S)、
物理科学科 学科長の樋口先生にご挨拶いただきました。
武田先生からは、理学部の学生中には目標が明確でない学生もいるので、同窓会として
就職に臨む心がまえについても指導いただきたいとの言葉がありました。
2) 議長、書記選出
  議長に小西(理学2S)さん、書記に三澤さん(文理16回)を推薦、拍手で承
認されました。
3)年次活動報告
  藤事務局長(理学2S)より、第3回就職支援セミナーの開催、毎月のSKYPE
による役員会開催、年4回の同窓会メルマガ会報の送付など1年間の活動が報告されました。
第3回就職支援セミナーでは、講演の後講師毎のグループに分かれ相談に応える場も設けられ、
好評を得た旨報告がありました。学年幹事・研究室幹事については、1学年と2研究室の幹事が決まり、
38学年 と5研究室の幹事の顔ぶれが揃いました。WEB(メーリングリスト)新規登録者は13名、
宛先不明での削除者が9名。前年は新規12名、退会者は1名。前々年は新規11名が登録。
学生からの登録はまだ少ない状況。今後の同窓会発展のための活動指針として、次のことが強調されました。
- 学年・研究室幹事にもっと活躍していただくこと。そのための仕組みを早期に確立しなければならない。
- 就職については、学生・教員・卒業生の共通課題として取組み、物理学生のための就職支援セミナーを継続して推進して行く。
4)決算報告、監査報告
  志水会計担当(理学92SA)より決算結果が報告されました。続いて、
松原会計監査(文理10回)より決算に問題ないことの監査報告があり承認されました。
5)予算案
 志水会計担当より予算案の説明があり拍手で承認されました。
 なお、今年の総会には、現役の院生2名の方が総会幹事として参加。
準備作業や当日の受付を担当していただきました。同窓会員の出席者は33名でした。
《 懇親会 》
 竹下先生のご発声で乾杯。世代を越えて歓談の輪が出来、
親交を深めることができました。司会の赤羽さん(文理10回)、松原さん(文理10回)
に促され、多くの方に近況等を交え、ショートスピーチをしていただきました。
 最後は、清水さん(文理11回)の音頭で「春寂寥」を斉唱し、松原副会長の
 閉会の辞により締めくくられました。