[ 信大物理同窓会報0025号(2009年春号) ]
2009年3月25日配信





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          ┃信┃┃州┃┃大┃┃学┃┃物┃┃理┃┃同┃┃窓┃┃会┃┃報┃    
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│田田田田田|          │★ SUPAA MAILMAGAZINE BULLETIN 2009年春号│ 
│田田田田田|            ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
│田田田田田|──┐■━━■編集・発行/信大物理同窓会事務局■━━■
│田田田田田|田田|             (http://www.supaa.com/)  
│田田田田田|田田|〒390-8621松本市旭3-1-1 信州大学理学部物理教室内
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 ■「旧文理学部物理学科」+「理学部物理科学科」OB&学生と教員の会■
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  ○-- 今号は定期刊行(季刊)化第2号にあたり、現役  --○    ∩ 
  ○-- の先生方にも中身の濃い原稿をいただくことがで --○  ⊂○⊃
  ○-- きました。入試も終わり一段落ですが、課題もい  --○    ∪
  ○-- ろいろとあるようです。そこで、学科長の川村先 --○   ーlー
  ○-- 生にQ&Aを試みました。なお、ことしの総会に --○   ーlー
  ○-- ついて詳細が決まりました。ぜひ参加ください。 --○   ーlー

      【 I ・ N ・ D ・ E ・ X 】
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
◇ 『第12回信州大学物理会総会』開催のご案内・・・・・・・・・清水 邦男
◇ 連載第3回【信州大学への追想】メあの日あの頃モ  
        「文理学部から理学部へ」 ・・・・・・・・・・・・・・宮地 良彦
◇ 物理学科長の川村先生に10の質問・・・・・・・・・ご回答:川村 嘉春
◇ 平成20年度理学部表彰者が決定、物理科学科では次の皆さんです!
◇ 素粒子物理学の今(特別寄稿)・・・・・・・・・・・・・・・・竹下 徹
◇ 美谷島 實 教授 退職記念講演会のご報告 ・・・・・・・・・・・志水 久
◇ 【OB/OGの現場から】第8回 
   「メメスバウア効果モの研究没頭を振り返る」・・・・・・・・吉田 豊
◇ 信州大学東京同窓会┃設┃立┃総┃会┃・・・・・ 根建 恭典 佐藤 祐子
◇ <再掲>「同窓会費」は終身会費として1万円『会計細則』決まる!
◇ 編集後記
 
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┃第┃12┃回┃信┃州┃大┃学┃物┃理┃会┃総┃会┃開催のご案内
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              清水 邦男(文理11/信州大学物理同窓会事務局長)
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                         平成21年2月吉日
信州大学物理同窓会 会員各位

 拝啓 春寒の候、皆様にはますますご健勝のこととお慶び申し上げます。

 さて、第12回の信州大学物理会総会を下記の通り開催致します。本年は信州
大学創立60周年に当たり、大学および同窓会連合会の協賛により運営される、
ホーム・カミングデーと記念式典の日時に合わせ6月6日(土)に実施致しま
す。当日は物理同窓会としては【学科の集い】の時間帯に総会のみを行い、以
降は理学部同窓会の企画内容に準じ行動する予定でおります。

 何かとご多忙な折柄ではありますが、多数の会員各位皆様のご参加をお願い
申し上げます。
   
                                 敬具
               「記」
     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
1. 日 時    平成21年6月6日(土)午前10:30〜午後1:30
2. 場 所    信州大学理学部内の各教室(当日案内表示します)
3. 内 容
    3?1 物理会総会 10:30〜11:30(参加費 無料)
      (1)議長、書記選出 (2)年次活動報告 (3)決算報告  
      (4)監査報告 (5)予算案 (6)新役員選出、現役員承認
      (7)物理学科長からの挨拶 (8)その他

   3?2 理学部同窓会総会 11:30〜12:00
   3?3 理学部主催昼食会 12:00〜13:00(会費1,000円) 
                            (学部・学科の歩みと現況報告)
     以降は自由行動。

  ■ 第12回物理会総会幹事 ■
  清水 邦男(文理11回) 高藤 惇(2S) 上条 弘明(9S) 
    小松 徹夫(16S) 志水 久(922SA)

◎申込み葉書が届いていない方は、当会のWEBサイトからお申込みください!
  ( http://www.supaa.com/meet12.html )
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◎理学部からのお願い:ホーム・カミングデー当日は、理学部C棟のロビーや
昼食会会場付近に文理から理学にかけての時間経過を示すような 『写真』を
コメント付きでパネル掲示したいと考えています。そこで、同窓会員の皆さん
にお願い。記念となる当時の写真を提供していただけないでしょうか。よろし
くお願いします。                 武田三男(理学部長)

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   【信州大学への追想】┃メ┃あ┃の┃日┃あ┃の┃頃┃モ┃ 連載第3回 
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                   ■ 文理学部から理学部へ ■
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            宮地 良彦(信州大学名誉教授・物理同窓会名誉顧問)
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                  *
         昭和41年4月に入って国立学校設置法改正、政府予算成立に
   ●●    より、長かった文理学部の冬の季節に別れを告げて新しい信州
  ●※●   大学が発足した。この改組による文理学部自然科学科教官の異
   ●\、  動は次のとおりである。、
    ー\         
       【理学部へ(14名)】:斎藤素(数)、宮地良彦(物)、高尾
保太郎(物)、竹村寿二(物)、小松寿美雄(化)、野村俊明(化)、小林国
夫(地)、百瀬寛一(地)、山田哲雄(地)、郷原保真(地)、池田雄一郎
(生)、肥沼昭(生)、中山包(生)、安田 斉(生) 【教養部へ(4名)】
:佐倉直男(数)、味木博(数)、松崎一(物)、辰巳隆(化)【文理学部へ
残留(1名)】: 丸山巌(数)
    
 4月19日には第1回理学部教授会が開催され、初代理学部長候補者として杉
山流隆二教授(地質)、評議員として中山包教授(共通)及び小林国夫教授
(地質)を決定し、4月22日には理学部第1回入学式が行われ110名の新入生
を迎える事になった。

 理学部発足当時の教官名簿を記しておこう。

   理学部長      教授     杉山隆二(地質学科)
 ------------------------------------------------------------
 学科       学科目          職          氏名
 ------------------------------------------------------------
 ■数学科     幾何学        助教授      斉藤  素
             解析学        教授        内山三郎
                助教授      小柴善一郎
               位相数学      教授        横田一郎
                             助教授      浅田  明
 ------------------------------------------------------------   
 ■物理学科   素粒子物理学    助教授      宮地良彦
                           講師        高尾保太郎
        統計物理学     助教授      竹村寿二
                               助手        増田孟志
               電子物理学      助教授      鷺坂修二
 ------------------------------------------------------------ 
 ■化学科     分析化学       教授       小松寿美雄
                           助手        野村俊明
               無機化学        助教授      森  芳弘
               物理化学        教授        横井政時
                               助手        窪田衛二
               有機化学        助教授      山根亀二
 ------------------------------------------------------------
  ■地質学科   第四紀学        教授        小林国夫
                               助手        百瀬寛一
               地質学          講師        山田哲雄
               応用地質学      教授        杉山隆二
                               助教授      郷原保真
 ------------------------------------------------------------
  ■共通学科   動物学          教授        池田雄一郎
                               助教授      肥沼  昭
               植物学          教授        中山  包
                               助手        安田  斉
           附属施設臨湖実験所  助手        山岸  宏
 ------------------------------------------------------------

 ただし上に記載された教官の職名は、当時の学内手持ちポストによるもので、
教官ポストの増員計画が年次計画により実施されてゆくにつれて、新任者の採
用や学内昇任等が設置計画書に従っておこなわれて行った。

 この他理学部事務職員組織も、丸山袈裟治郎事務長、中村正広総務係長、百
瀬利一学務係長ほか、総計18名が配置された。
 
  【追記】 文理学部改組の全国的状況  
   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   昭和39年頃の文部省文理学部改組処理方針は、昭和40〜41の両年度で、
  全文理学部の改組を完了する計画だったようである。このため信州大学文
  理学部の改組計画が確定した段階で、残された文理学部の間には、これで
  改組は終わったとする悲観論と、全国最少の文理学部改組が行われたのだ
  からわれわれも当然拡充されるという楽観論とが交錯したといわれる。実
  際には文理学部の改組はその後昭和43年度まで進められ、その結果14大学
  中の10大学は次のように拡充改組されることになった。

  ■昭和40年度 弘前(人文・理・教養)、埼玉(教養学部・経済・理工)
         静岡(人文・理・教養)、鹿児島(法文・理・教養)
  ■昭和41年度 信州(人文・理・教養)、佐賀(経済・理工・教養)
  ■昭和42年度  山形(人文・理・教養)、茨城(人文・理・教養)
  ■昭和43年度  千葉(人文・理・教養)、愛媛(法文・理・教養)

   この時点では、富山、島根、山口、高知の4大学文理学部は学部改組を
  行うに至らず、教養部だけが昭和41年度に山口大学、昭和42年度に富山大
  学に設置されるに留められた。

                  *
  この一連の文理学部改組が一段落した昭和40年代の終わり頃になると、文部
省は、それまで大学院を持たなかった国立大学理学部に、修士課程を設置する
ことを計画する。信州大学にも昭和49年に大学課長から打診があり、その結果
千葉大学には遅れをとったものの、昭和50年度には共通学科目の生物学科への
昇格が実現し、昭和51年度には静岡大学と共に、大学院理学研究科(修士課程)
が設置されることになった。

  前回の改組で見送られた富山、島根、山口、高知の4文理学部の改組が再考
されたのは、やっとこの時点のことであった。結果的にこの4大学改組は約10
年遅れたことになる。しかも大学院修士課程の設置は更にこれより遅れ、昭和
40年当時の14文理学部(のちに琉球大学を加えて15学部となった)の自然科学
系が大学院修士課程まで備えた形で最終的に足並みを揃えるのは、実に昭和60
年4月のことである。

  一方信州大学を見ると、文理学部改組により新設された諸学部は、その後次
のような発展を見せている。

■昭和41年4月1日 文理学部改組による人文学部・理学部・教養部設置
■昭和42年4月1日 理学部地質学科に地球化学学科目増設
■昭和50年4月1日 理学部生物学科設置
■昭和51年4月1日 大学院理学研究科(修士課程)設置
■昭和51年4月1日 人文学部文学科を人文学科に改組
■昭和52年4月18日 理学部数学科に関数解析学講座増設
■昭和53年6月17日 人文学部を改組し、人文学部・経済学部を設置
■昭和57年4月1日 大学院人文科学研究科(修士課程)設置
■平成元年4月1日 大学院経済・社会政策科学研究科(修士課程)設置
 
 考えて見ると、教官数でも施設面でも全国最少規模であった信州大学文理学
部が、他大学に先駆けて改組を完了できたのは、まさに奇蹟としか言いようが
ない。当時の三村一学長は改組の成功は、天の時、地の利、
人の和と言ったそうである。しかもこの時点で改組出来た      vvv
か否かが、後日どんなに大きな意味を持つことになったか   vvv (  )
ということも、その後の経過を見れば一目瞭然である。文    ( ) ~|~
教政策の大きな波が約10年の周期で訪れて来るものである    ~|~  | /
ことを、しみじみ感じざるを得ない。              |/\|/

(文中の肩書は当時のもので、敬称は省略いたします。)   (以下次号)

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   ■  物理学科長の川村先生に10の質問 ■
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      ご回答:川村 嘉春 (信州大学理学部物理科学科 素粒子理論研究室)
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                 少子化、理科離れ、交付金の削減など、物理科をとりまく
 V ?       状況はなかなか厳しいものがあります。同窓会としてはどの
(∵)       ように支えていけばいいのか? 当会報の編集委員会では、
 \(@)⊃      学科長に気になる部分を質問してみようということになり、
〜〜〜〜〜〜  10項目にまとめてみました。川村先生からは、入試で忙しい
        時期にもかかわらず、以下のようなご回答をいただきました。
今後の考えるヒントが隠されているようで、しっかり検討したいものです。
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1) 現在の学生気質・特徴を3つほど挙げるとすると・・・ 
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 現代という時代と関係ないものかもしれませんが、つまり、学生との年齢差
の拡大により生じる(普遍的な)ことで、すべての学生にあてはまるとは限ら
ない ことかもしれませんが、敢えて、挙げるとすれば、「イージーな道を選
ぶ傾向がある」それと関連しますが、「集団的な無気力さが漂う場合がある」 

2) 現役学生に望むこと、おこごとや注文などについて 
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ありふれたことしか思い浮かびません。「大きな夢を持って、それに向かっ
て突き進んでほしい。失敗を恐れないでほしい。若い時期に悔しさをバネにし
て再挑戦するという一連の経験が大きな財産になるかもしれません。」 
 
3) 学生の勉学意欲や質を高める方策を講じておられるのでしょうか? 
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 学内版GP『理数学生応援プログラム』の支援の下で「サイエンス・ラウン
ジ」や「公開講座」を実施しています。「サイエンス・ラウンジ」とは学部上
級生や大学院生が下級生達の学習相談に応じる場です。「公開講座」では、そ
の分野の若手の第一人者を講師として迎え、学習意欲の向上を目指しています。 
いずれも理数学生の自主的な学習を支援するプログラムです。 
 
4) 学生を顕彰する制度があるそうですか、どのようなものですか? 
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 学業優秀な学生を各年次若干名、年度毎に表彰しています。1〜3年次当該
年度で習得した単位の成績をもとにして、4年次は4年間に習得した単位の成績
及び卒業研究を評価の対象として、選定しています。 
 
5) 現在の物理科学科のかかえる最大の問題点は何だとお感じですか? 
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 教育面と運営面について個人的な視点から指摘いたします。教育面では、修
士課程まで含めた斬新で効率的で有効的なカリキュラムの 作成と実施です。 
運営面では、ポイント制により人件費が管理されていて、その弊害として、 
有能な教員が昇進する機会が少なくなっていることです。 
 
6) 上記問題点・課題に対する解決策としてはどんなことが考えられますか? 
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 今年度、修士課程まで含めた新カリキュラムの原案を作成しました。 今後、
その実施に向け改良を重ねる必要があります。人件費の問題は、学部および大
学レベルで検討・議論すべき難問です。 

7) 信大物理科学科は教育重視・研究重視、どちらだとお考えですか? 
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 明確な答えになっていませんが、どちらも、同じように重視しています。 

8) 数年前に国立大学は独立行政法人化されましたが、その後の変化について 
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 急激な変化ではありませんが、大学運営に関する様々な業務(例えば、中期
計画などの作成、計画の実施および点検・報告など)が増えました。教育・研
究費は減少しました。残念ながら今のところプラスを見つけることができませ
ん。 
  
9) ことしの入試について、応募倍率や受験率などどのようにお考えですか? 
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 入試のやり方を変えたのが倍率に反映しているとは思いますが、綿密な分析
は これから行う必要があります。やり方をどのように変えたかというと、 入
学定員そのものは前年度と同じで35名ですが、「推薦入試の導入」と「後期日
程の選抜方法の変更(学力検査を課さずセンター試験の結果で合否 を判定)」
に伴いを募集定員を推薦入試5名、前期日程(10名→)20名、 後期日程(25名→)
10名に変えました。 
 
10) 当同窓会に期待していることや、要望がありましたら教えてください 
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 個人的には卒業生の精神的な拠り所になって頂ければ幸いです。 

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   ■ 平成20年度理学部表彰者が決定、物理科学科では次の皆さんです!   
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
□ 1年:後藤裕平,中尾健志,森口真靖
□ 2年:井田慧,今井宗幸,崔原碩,朴相源,羽柴規敏,原田真琴
□ 3年:小財正義,小多亜弥,野中淳平,山浦弥
□ 4年:物性理論        荒川直也
      素粒子宇宙物理学理論   小林玲奈
      物性実験        窪田志朗
      素粒子・宇宙物理学実験 若林潤

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   ■ 素粒子物理学の今 ■ (特別寄稿)
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     竹下 徹 (信州大学理学部物理科学科 高エネルギー物理学研究室)
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         昨年のノーベル物理学賞は、3人の日本人に与えられ、素
  / ̄ ̄/    粒子物理学への関心がたいへん高まっています。この道の専
 / ◆ /~~~/   門である本学の竹下教授に解説をお願いし、かつ最先端の動
 /    /◇ /    きについても書いていただきました。ビッグバンに始まる万
 ~~~/~   /     物創成の謎に一歩近づこうとしつつあるようです。去る3月
  ~~~~~    7日には、竹下先生のグループは松本市中央公民館で『サイ
        エンスポット信州』と題した市民向けイベントも開催してい
     ます。会場は満席の盛況となり、関心の高さを伺わせていました。
            ( http://www.supaa.com/kikou/takeshita01.html)
          ------------------------------------------------------------

 2008年は日本の物理学にとって画期的な年でした。それは素粒子物理学
の3人の理論研究者が30数年前におこなった理論の仕事でノーベル賞を受賞
したことです。南部先生は、「自発的対称性の破れ」と言う概念で、また小林
益川両先生は、「CP対称性の破れ」です。これらは当時の研究では超斬新なア
イデアでした。これを30年以上かかって実験が証明して、アイデアが物理概
念となった事が、認知されたのです。そのことに日本人が大きく関与していた
事は、大変意義深い事です。

 特に小林益川理論は、CP対称性の破れを予言しました。加速器実験で既にK
粒子の崩壊では見つかっていたので、その解釈をあたえました。その後続いて
発見されたbクオークでもCP対称性の破れが見つかりました。その結果、小林
益川理論は、我々の宇宙が物質ばかりで反物質がないことの定式化として一躍
大きな意味を持ちました。すなわち粒子と反粒子は完全に同じではなく、ほん
のちょっとだけ、違った相互作用をする事が示されました。

 このアイデアは宇宙の始まりであるビッグバンで作られた同数の粒子と反粒
子のうち、粒子だけが生き残った理由を理解できます。つくば市の高エネルギ
ー加速器研究機構のKEKBという加速器は、この小林益川理論のパラメータを実
験で測定するために作られました。

 素粒子物理学は、今大きな転換期にさしかかっています。それはLHC加速器
(CERN, ジュネーブ)の完成です。ブラックホールができて地球が飲み込まれ
てしまうとは思えませんが、南部理論による対称性の破れを素粒子標準理論内
で体現するヒッグス粒子を見つけようとしています。そして、次のパラダイム
への移行を意味するからです。

 素粒子物理学は、宇宙の始まりはどうだったのかという問題にアプローチし
ていますが、次のステップが目の前に迫っています。素粒子標準理論が究極の
理論であるはずはなく、次の止揚が実験で決まるからです。私はこの16年間
LHC実験の準備をしてきました。今やっと実験の始まりというタイミングを迎
えました。これからは興奮の連続となるはずです。

 一方こんなに長く準備をしていると、目標がぼけたり、何やっているのか分
からなくなる事があります。また種々の問題点も浮かんできます。それを克服
すべく次の計画もたてています。素粒子物理学の歴史にも明らかなように、陽
子陽子衝突の加速器であるLHCは、高いエネルギー状態の実現は、容易で高い
質量にある粒子を生成する事にかけては、高い能力を持ちます。そこから多く
の発見が生まれてきました。

 しかしこの加速器は、「全て」を知りたいという私たちを満足させられない
かもしれません。つまり、存在するはずの「全部」は見えてこないかもしれな
いのです。陽子は、その中にクオークを内在する複合粒子なので、衝突に寄与
する2つのクオーク以外の存在は邪魔になります。そこで我々は、点粒子同士
の対消滅実験というクリーンな電子陽電子衝突型加速器から学ぶことになりま
す。

 しかし電子は円形加速器中で曲げ磁場のためにシンクロトロン放射を出して、
エネルギーを失います。この放射は、物性や医学の研究に役立ちますが、より
高いエネルギー状態を人工的に作りだし、宇宙の始めにより近づきたい我々高
エネルギー研究者には困り者です。そこで今ではまっすぐな電子陽電子加速器
による衝突実験という線形衝突型加速器(ILC:International Linear Collider)
計画を推進しています。

 LHCの陽子陽子衝突の高いエネルギーと精密実験を得意とするILC電子陽電子
衝突実験により、新しいパラダイムを開き、現在の素粒子標準理論を超える理
解へと進んでいます。それが超対称性理論なのか、はたまた。。。。。。。。
乞うご期待です。

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    ■ 美谷島 實 教授 退職記念講演会のご報告 ■                            
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     報告・志水 久(92SA/信州大学理学部物理科学科 物性理論研究室)   
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         平成21年3月6日(金) に物理のOB(文理15)であり、教員でも
   (~)    あった美谷島實 教授の退職記念講演会がありました。題して、
  (こ※こ)   『科学する心 三十余年を振り返って』。平日の開催ではあり
   (_)(_)      ましたが多くの卒業生、また退職された教員の方々がご出席
               くださいました。
         
 講演では、美谷島先生が幼少の頃、ご両親に買ってもらった本がきっかけと
なって進まれた研究者の道で、研究者として、また教育者としてご活躍された
様子をうかがうことができました。教育については大学だけでなく、高校生向
けの公開講座など多方面でご活躍されてきたことを改めて実感しました。 

 講演会の後は旭会館にて祝賀会が行われ、宮地先生をはじめたくさんの方々
と旧交を温めておられました。 4月からは教育特認教授として授業をしていた
だくこととなっておりますので、今後も美谷島先生のお世話になることと思い
ます。 
                          ( http://www.supaa.com/pages/osirase.html )

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  ┃O┃B┃/┃O┃G┃の┃現┃場┃か┃ら 《 第8回 》
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    ■ メメスバウア効果モの研究没頭を振り返る ■
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        吉田 豊(理学7S 物性研究室・静岡県袋井市在住) 15MAR.2009
           【静岡理工科大学 教授/理化学研究所 客員研究員】
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       吉田さんの研究生活は「松本から始まって、仙台、大阪、ベル
 (・>    リン、ウィーン、そして現在の袋井&東京」とおっしゃるように、
 /彡))    世界を身軽に飛び回って(?)成果をものにされた様子。なかでも
/ /      8年間に及ぶドイツ語圏での生活は決定的だったようです。メメ
/"?k_      スバウア分光モの研究に没頭し悪銭苦闘するなかで、生涯の友と
      の出会いも。2011年に東京で開催される国際会議の実行委員長と
しても活躍されます。   (http://www.supaa.com/kikou/yoshida01.html )   
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 山好きの私にとって、常念岳を眺めながら学んだ松本での学生生活は幸せな
時間でした。卒業研究は勝木渥先生のご指導で磁性理論に取り組みました。仙
台と大阪で大学院時代を過ごし、その後渡欧。1983年から1991年の8年間をベ
ルリン・ハーンマイトナー研究所とウィーン大学固体物理学研究所で過ごしま
した。ベルリンの壁がクレーンでつり上げられ壊されていくのを、壁の上に立
って目撃しました。 

 現在は静岡理工科大学に勤務し、大学と理化学研究所で装置開発やメメスバ
ウア分光モによる物質科学の基礎研究を行っています。2011年には「メスバウ
ア効果の応用のための国際会議」が東京で開催されることになり、私は実行委
員長として準備を進めています。本稿では、これから物理学科を卒業して研究
分野に進もうとされている後輩の方々を念頭に、ベルリンとウィーンの研究生
活を中心に紹介いたします。 

 1983年10月3日、ベルリンのハーンマイトナー研究所に着任。Tegel空港から
Wannseeに着くまでの車窓から眺めた北緯52度の地は太陽が低く、メ夕陽モで
煉瓦つくりの家々が赤く染まっておとぎの国ように美しかったことを鮮明に記
憶しています。研究所は西ベルリンの西の端、ポツダムのすぐそば。緑と湖に
囲まれた環境です。研究所が用意した家に向かい、大家さんのFrau Krochmann
にモGuten Tag!モと挨拶。そして研究所へ。メクーロン励起メスバウア分光
プロジェクトモの一員として同僚に紹介されました。夜はベルリンのメインス
トリートKudammの店先で、 先生と奥様、そして同僚数名とドイツビールで乾
杯。最初は私のことを気にかけていた同僚たちもそのうち自分たちの話に熱中
して私はカゴの外。街の暗い明かりと通りを行く人々を眺めながら、これから
始まる長い異国での生活を思いました。 
 
 Vogl先生は一見不可能に思える研究を計画し組織することに情熱を燃やし、
多くの発見をしています。この7月(2009年)には退官記念のシンポジウムで
久しぶりにお会いすることになっています。ドイツ語に関しては、大学2年間
と半年間の Osaka Goethe Institutではほとんど身につかなかったので、そ
の後研究所のサポートでBerlin Goethe Institutに週4回、半年間の夜間コー
スに通うことになりました。 

 彼らの話の内容がおおよそ理解できるまでには少し時間がかかりました。も
ちろん歴史や文化的な背景、彼らの思考を知り、深く理解できるまでには8年
間すべて必要だったのかもしれません。語学学校ではアフリカやアジア、南欧
から来た若者がどんどん話すのを見て、彼らの気迫に圧倒されそうでした。夜
の授業が終わってからは街に出て、クラスの仲間とドイツ人や役所の悪口で盛
り上がりました。この時は英語でした。皆、初めてのドイツ生活で同じような
苦労をしていましたので、連帯の輪がすぐにできました。 
 
 語学学校に通った半年間、人と人のコミュニケーションの基本、「お互いに
理解できるまであきらめないで話し合う」ことの大切さを学ぶことができまし
た。これが私の出発点になりました。ある日本の先生が出発前に私におっしゃ
った「中途半端に外国語を学ぶことは研究者にとって時間の無駄」という言葉
は間違っていたと確信しています。 。 

 さて、ハーンマイトナー研究所ではバンデグラフとサイクロトロンを結合し
た重イオン加速器VICKSIが運転開始した間もない時期でしたので、研究所が生
き生きと呼吸をし、張り詰めた空気が漂っていました。あれほど理想的に組織
された研究部門はその後見たことがありません。3交代で働く加速器オペレー
タ、工作ショップ、真空技術の担当者、また実験に必要な部品、たとえばコン
フラット・フランジやネジ、ゲートバルブなどすべて整然とストックされてい
ました。 

 当時、実験装置のデザインからプロジェクトに参加しましたので、工作ショ
ップのメマイスターモにはずいぶんお世話になりました。簡単な図面を持って
相談に行き、片言のドイツ語でのやりとりで説明しますと、200%満足できる
答えが帰ってきました。実験中、たとえ深夜でも仕事を依頼することができま
した。この加速器は特に原子核と電子の超微細相互作用を利用した研究、例え
ばメスバウア分光(MS)やγ線摂動角相関(PAC・PAD)などを行うのに理想的
なパルスビームを提供できるように設計されていました。現在、理研の重イオ
ン加速器を利用して実験を行っていますが、仕事を始めてから十数年経過した
今なお、当時のVICKSIの性能には及びません。  

 残念ながらこの加速器は東西ドイツ統合の流れの中で一部を除いてシャット
ダウンされています。この加速器の運命は私の研究者としての人生に大きな影
響を与えることになりました。ベルリン時代の同僚(R.Sielemann, H. P.
 Gunnlaugsson博士)です。 

 この時期に行った研究テーマ「物質中の高速拡散」を簡単に紹介しましょう。
物質中の原子の拡散は一般的にメ原子空孔モを介して起こり、鉄中の鉄は室温
で1秒間では動きません。一方、水素原子などの軽元素は原子と原子の隙間に
メ格子間原子モとして存在し、極めて速い拡散が起こります。例えば、鉄中の
水素では室温で1秒間に0.1mmも移動します。この移動度に匹敵する高速拡散が
ジルコニウムや鉛、シリコン中の遷移金属不純物拡散で報告されているのです。 

 従来のトレーサ法を利用した拡散係数の測定では微視的な拡散機構を直接検
証することはできません。この原因を探るために拡散に関する原子スケールの
情報が得られると期待されるメスバウア分光を利用して、高速拡散する鉄原子
をその場観察しようとしました。ところで、メスバウアスペクトルに拡散によ
るどのような影響が現れるかは1960年代に理論的に予測され、1980年代初頭ま
でに精力的に実験が行われました。 

 メスバウアプローブ核である57Fe原子が励起状態の寿命の間に跳躍するよう
なメ高温領域モになりますと、プローブ核に吸収または放出されるガンマ線の
位相に乱れが生じます。これがスペクトル線幅の増加として観測できますので、
線幅増加から求めた拡散係数が評価できます。ところが、当時、メスバウア実
験から得られた拡散係数の値は標準的なトレーサ実験から期待される値と比べ
2倍だけ異なった実験値が得られており、理論に疑問が持たれていました。 

 そこで、私たちは2つの目標を設定し、メスバウア拡散理論の検証と高速拡
散する鉄原子をその場観察を行うための実験を計画しました。前者は実験室で
もっとも単純なモデル系である鉄で、しかも拡散が極めて速くなり非常に大き
な線幅増加が期待できるδ相(1400 ̄1540℃)でメスバウアスペクトルの測定
を行うことでした。これは世の中の常識「メスバウア効果の観測は低温で行う」
とは全く異なる温度領域の測定で、ほとんど不可能と思える実験です。 

 もう一つは鉄固溶度がほとんどないジルコニウム中の鉄拡散をその場観察す
るために、重イオン加速器を利用してクーロン励起したプローブ核57Feを生成
し、試料に直接高エネルギーで注入し、直後に鉄原子の跳躍過程をその場観察
する方法です。 

 いずれも世界初の試みで、前者では高温用測定炉、後者ではγ線検出器など
計測技術開発からスタートしました。数年の後、両方の実験は最終的に成功し
ました。世界最高温度でのメスバウア効果の観測と拡散による線幅増加の観測
に成功し、メスバウア分光が拡散研究に利用できることを先ず示しました。そ
してイオン注入直後であっても鉄原子の跳躍過程をその場観察でき、ジルコニ
ウム中で局所的な鉄原子の跳躍過程(ケージ運動)と長距離拡散を直接捉えて
います。両実験の詳しい内容は下記ホームページをご覧ください。 

 1986年、Vogl教授はウィーン大学の固体物理学研究所の教授として招聘され、
私はメスバウア分光実験室を新たにウィーンに建設することになりました。当
時、西ベルリンからウィーンまでは直線距離で650km、実際には西ドイツのHof、
Passau経由で1000kmの道のり。穴だらけの東ドイツの高速道路を自分の車に装
置の一部を積んで何度となく往復しました。当時の私のパスポートはまるでス
パイのようにメ西ベルリンモとメ西ドイツモ、そしてメオーストリアモを往復
したことが記載されています。加速器実験は引き続きベルリンで、高温実験は
ウィーンで行いました。 

 当時、電子メールが利用できるようになり、ベルリンの同僚とはメールで論
文の内容を議論していました。朝から晩までドイツ語で仕事を始めたのもこの
時期です。業者にドイツ語で電話し、実験器具を注文し価格交渉もしていまし
た。ベルリンとウィーン、同じドイツ語圏の街ですが、言葉は日本なら標準語
と東北弁ほど大きな差があります。単語もかなり違います。もちろん、人も異
なります。あまりの違いに戸惑い、自家用車のオーストリアへの輸入で役所を
たらい回しにされた時には、ドイツ語で大げんかもしてしまいました。 

 \|/              こんな時期に生涯の友Peter Fraztl博士
 ム●ムム / ̄\ ⊂⌒⊃      と出会いました。彼はX線小角散乱装置を
 /|\ /〜〜〜\⊂⊃     開、発し合金中の析出過程やバイオマテリ
 ⊂⌒⌒⌒⊃/人\\\       アルの構造に関する研究を行っていました。
 ⊂⌒⌒⌒⌒⌒⊃\\\\       彼は私がこれまで出会った科学者のなかで
                              群を抜いて優秀です。彼と共同研究テーマ
で議論すると、どんどん斬新な発想が生まれてきます。毎日、一緒に研究所の
近くのレストランで食事をし、新たな研究テーマについて議論したことを思い
出します。彼は現在、ポツダムのマックスプランク研究所の所長をしており、
昨年、ドイツでもっとも権威のあるマックスプランク科学賞を受賞しています。 

 こうして思い返してみますと、松本から始まった私の研究生活、仙台、大阪、
ベルリン、ウィーン、そして現在の袋井。実に多くの人々に支えられ今日まで
歩んできました。現在取り組んでいる「シリコン中の鉄原子」の問題も10年以
上、あと一歩というところまで到達しています。最近では鉄原子だけに敏感な
「メスバウア分光顕微鏡」の開発も行っています。信州大学で私を育ててくだ
さった先生方そして先輩、友人に深く感謝して筆を置きます。 
                               
● 関連WEBサイト ● 
Yoshida Lab.メスバウア分光で挑むナノ物質科学 
( http://www.sist.ac.jp/~yoshida/ ) 

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 ┃信┃州┃大┃学┃東┃京┃同┃窓┃会┃設┃立┃総┃会
 ┗━┗━┗━┗━┗━┗━┗━┗━┗━┗━┗━┗━┗━         
      根建 恭典(文理9/信州大学東京同窓会会長 物理同窓会会長)
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           2月7日(土)、市ヶ谷アルカディアにおいて、信州大
     vvv     学東京同窓会の設立総会が開催されました。当日は、学
  vvv (  )     長、理事、各学部長、各学部同窓会々長、大学関係者と
  ( ) ~|~          会員を含め総勢130余名の参加で大盛況だった。
  ~|~  | /
   |/\|/          恒例の記念講演会は、山階鳥類研究所々長の山岸哲氏
          (信大教育学部36年卒)が、「生命の賑わいはどのよう
にして生ずるか」と題して講演されました。鳥の行動や生態、進化の過程を検
証するための形態学やDNA(遺伝子)鑑定による種の同定などについて、素人に
も分かるように噛み砕いて説明された。

 大学からは、小宮山学長の挨拶、白井理事による大学からの報告、下田総務
部長から60周年記念事業についての案内があった。

 信州大学東京同窓会は、十数年正式な会合にするべく毎年の幹事が努力した
結果、各学部同窓会東京支部長の方々が世話人となり、正式に設立総会が成立
した。その結果、緒議案が承認され、会長には、根建恭典(文理)が選出され、
副会長に各学部同窓会の支部長及び代表が選ばれた。理学部からは、近藤一郎
(物理)が副会長になった。議案審議の終了後、新会長の挨拶、窪田同窓会連合
会代表の祝辞があって、石山盛也(文理)の閉会の辞で総会は終了した。

 懇親会は、佐藤祐子(理学部物理)の司会で始まり、可知文理学部同窓会長と
山沢工学部長の挨拶に続き、深澤教育学部同窓会副会長による乾杯の後、来賓、
学部、年齢を超えて着席した130余名の出席者は円卓を囲んで賑やかな歓談
の一時を過ごした。学士山岳会の60周年記念事業について松尾委員長が、壮
大な海外登山計画等について説明し、協力と後援の依頼が語られた。余興は、
SHOWDAI BANDの演奏に続き、ビンゴ大会と大変な盛り上がり、最後に恒例の
「信濃の国」を斉唱し、三村武尚(文理)による閉会の挨拶で散会となった。

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    ■ 信大東京同窓会参加報告 ■
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                         佐藤 祐子(理学91S)
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 信州大学東京同窓会に参加して参りました。参加者は100名以上とあって大
変盛大な会でした。

 会は、まず山階鳥類研究所の山岸先生による講演会から始まりました。オオ
ハシモズの話を中心にマダガスカルでの先生の研究活動の紹介がされ、種の進
化、特に「適応放散」(一つの種が環境に適応して分化する現象)の調査につ
いての話がありましたが、専門家でない私でも大変興味深く聞くことができま
した。

 総会は、今回からこの会が信州大学同窓会連合会東京支部として正式に発足
するということで、記念すべき設立総会となった訳ですが、会場からも活発な
意見があり、皆さんの熱意を強く感じました。この設立にあたっては事前に各
学部の世話人の方々が度重なる議論をされたようで、こうやって学部の垣根を
越えて交流できる会が正式に設立されたこと、世話人の皆様には深く感謝申し
上げたいと思います。

 懇親会では、当日午前中に急遽司会代理を仰せつかり、しどろもどろながら
も会の進行をさせていただくこととなりました。学長、理事、学部長にはじま
   り多くの来賓の方がお越しになり余興もSHOWDAI BANDによる歌、ビ
 ●/  ンゴと目白押しで、あっという間に懇親会の時間が過ぎていきまし
/■   た。今年は、大学創立60周年ということで様々な記念行事が催され
 >\  るそうですが、また信州松本の地で多くの人との再会を期待したい
     と思います。

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 <再録>■「同窓会費」は終身会費として1万円。『会計細則』決まる!■
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 1.同窓会費は終身会費として1万円とする。一括払いを原則とするが、本
 人からの申し出があった場合は事務局長が分割払いを認めることができる。

 2.事務局長名で金融機関に同窓会の口座を設ける。事務局長が通帳・印鑑
 を 管理する。会計担当がカードを管理して口座からの出し入れなどを行う。
 
 3.在校生からの同窓会費徴収は、事務局が徴収日を決めて実施する。徴収
 後、在校生の会費支払い者リストは、すみやかに会長ほか、会計担当および
 関連事務局員に伝達する。

 4.金融機関への振込み手数料は会員の負担とする。

 5.会計担当は、年1回開催する総会を利用したり、メールで呼びかけたり
 して、 卒業生からの会費徴収に勤める。

 6.毎年開催の同窓会総会における参加費の徴集など会計管理については、
 その年の幹事が担当し、事務局が補佐する。必要経費は事務局から事前に仮
 払いのかたちで支出できる。幹事は開催後しかるべく早く収支を事務局に報
 告し清算する。 

 7.会計年度を4月から翌年3月とする。           ┳ξ
 会計はすみやかに決算報告を作成                  ●●●
 して会計監査担当から監査を受ける。               ●●
                                                  ●
 8.本細則の改正は総会で行う。
            ┏━┳━┳━┳━┓
 ▼下記いずれかの口座に┃同┃窓┃会┃費┃のお振込みをお願いします!
            ┗━┻━┻━┻━┛
 ------------------------------------------------------------------
  ◆郵便局の場合/通常郵便貯金 
  記号:11150 番号:20343411
  口座名義:信大物理同窓会 代表者 武田三男(たけだみつお)
  住所:390-8621 松本市旭3-1-1

  ◆銀行の場合/八十二銀行 信州大学前支店
  店番号:421 普通預金 口座番号:650215  
  口座名義:信大物理同窓会 代表者 武田三男(たけだみつお)
  住所:390-8621 松本市旭3-1-1
           
 ̄/ ̄/ ̄/ ̄/ ̄/ ̄/ ̄/ ̄/ ̄ ◎編集後記◎/ ̄/ ̄/ ̄/ ̄/ ̄/ ̄/ ̄/ ̄/ ̄/ ̄

◆昨秋ノーベル物理学賞を受賞された益川先生と小林先生のおられた名古屋大
学の坂田研究室は、物理学の方法論と若手研究者の創意を発揮させる民主的研
究室運営でも有名でした.そのよな雰囲気の坂田研究室からは、日本を代表す
       るような研究者が多く排出しています.ノーベル賞のニュース
  /\ ☆  を聞いたとき、その当時名大理学部におられた森先生と鷺坂先
 │○│    生が、講義の中で当時の名大の様子や雰囲気を説明されていた
 │ │     ことを思い出しました.間接的ではあってもそのような雰囲気
/| |\   を味わいながら物理学の勉強にふれる機会があったことを大変
 ̄ ̄ ̄ ̄    幸運に思い、今でも先生方には感謝しております.(MI)
 ||||     ◇3月末から高速道路のETCでの料金が土日・祝日には最大
       1000円になる(完全実施は4月末から)とのことで、休日
のドライブを楽しみにしている方は多いと思います。ガソリン価格は落ち着い
たし、ガソリン代以上の高速料金を強いられていたことを思えばまさに天国と
言えますね。第二の故郷ともいうべき松本までのドライブが随分気軽になり、
6月6日の信大創立60周年記念式典、そして物理総会への参加者も増えるこ
とを期待しています。この日ばかりは、大学内の駐車場を卒業生に開放してい
ただきたいものですが。                     (HT)
●当会報も季刊となったことを機に編集長と発行人を明確にすることとなりま
した。ますます責任の重大さを感じます。先生方や同窓生の皆さんには無理な
お願いをすることが多いのですが、快く原稿を書いていただき、本当に有り難
たく思っています。今後とも充実した内容に仕上げていけたらと考えています。
●今回『OB/OGの現場から』の吉田さんの寄稿からは痛快な感動を覚えました。
外国での厳しい環境のなか、言語の困難と闘い、自分の研究に挑戦し、さらに
は研究仲間との人間関係の構築と、なみなみならぬ努力であったろうと。そう
した困難をまるで楽しむかのように、飄々とやり遂げていく姿に、励まされ、
また勇気をいただきました。信大物理生のお手本のようにも思えました。(T)
○ 高藤編集長(WED担当)が松本市に引越しをしてから、大学当局と松本市近
郊に在住する同窓生と接触が密となり、活動が活発になりました。同窓会組織
体としては理想的な形態であります。非常に好ましい状況になって来ました。 
○2月に信大東京同窓会(オール信大の東京地区に於ける同窓会)が正式に発
足しました。数年来からの念願が叶った記念すべき行事で盛大に執り行われま
した。小宮山学長は非常に喜ばれたと聞いております。この同窓会会長には根
建氏(当物理同窓会の現会長でもある)が就任しました。また当物理会からは
数人が役割分担して参加しております。当物理会のメンバーは内外で活躍し且
つ期待されております。これまた好ましい状況であります。今後一層活動に拍
車をかけていきたいものです。                  (MM)

===================================
■ MAILMAGAZINE BULLETIN 『信大物理同窓会報』0025号(2009年春号) ■
□ 2009年3月25日  編集・発行/信大物理同窓会事務局
《編集委員》松原正樹(文理10)高藤惇(2S)太平博久(6S)岩田真(19S)
□編集長:高藤 惇 □ 発行人:根建 恭典

             ┌──┐  (http://www.supaa.com/)
               │\/│ (info@supaa.com/) (makoto@insatell.co.jp)
            └──┘     
            ___________________________________________________
      (C)信州大学物理同窓会事務局 無断複製・転載を禁ず
       ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


   







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